前回コラムに引き続き、新型コロナの影響が続く中で銀行向けの事業計画を策定する方法を紹介しよう。お盆休みの週は多忙を極めた旅館・ホテルが多かったが、夏休み以降の業績見通しが立たないという声も聞く。継続的な資金繰り支援を受けられるよう万全な対応をしたい。
6、Go Toトラベルの効果に一喜一憂しない
東京がGo Toトラベルの対象となったことにより、旅行や外出に対する不安感はだいぶ和らいだといえる。9月の連休は一足遅い夏休みを楽しむ観光客で全国の行楽地がにぎわった。その中で、Go Toトラベルの利用者が一部の施設に偏り、恩恵が少ないと嘆く施設もある。
業績が思うように回復しないと悩む施設は、比較的予算があり余暇時間を取りやすい顧客をターゲットとしたプランの立案を行うことをお勧めする。ハード設備のリニューアルを行うことは容易ではないが、料理のアップグレードやフリードリンク、館内サービス利用券を含めたプラン、アクティビティと組み合わせたプランなど、高単価の顧客を狙う手段はある。
高単価客をターゲットにしたプランを打ち出しても売り上げ回復の兆しが見えない場合には、経費抑制を続けて財務体力を温存しておこう。
他施設から顧客を奪ってでも売り上げ回復を図りたいと考えすぎると、同質的な価格競争に陥りがちである。少ないパイを取り合うのは経費もかさみ、得策とはいえない。獲得できたとしても、半額で泊まった客がリピート客になるとは考えにくい。一過性の客を追いかけてもしょうがないと割り切ることも大切だ。
資金繰り計画はGo Toトラベルの効果を加味せずに、貸し出し限度額上限まで融資が受けられるようにしたい。現段階では必要ないと思っても余分に借りておくことをお勧めする。預金残高に余裕がないと冷静な経営判断ができなくなるからだ。
旅館・ホテル業は数十年かけて投資回収を行っていく長期戦のビジネスである。短期的な動向に一喜一憂せずに、将来のファンづくりを着実に行いたい。
(アルファコンサルティング代表取締役)