前回に引き続き、アフターコロナ時代に取り組むべき施策について紹介しよう。新型コロナウイルスの感染抑制を目的とした強烈な自粛要請や衛生指導は、消費者の生活様式や価値観、嗜好を大きく変えてしまった。従前のコンセプトや運営方針、商品サービス、ハード設備では宿泊者の満足が得られない可能性がある。早めに対策を講じて良いスタートを切りたい。
17、銀行からの厳しい選別に負けない施設になる
本年7月ごろから追加融資を受けられず資金繰りに窮する旅館・ホテルが散見されるようになった。3月以降に拡充された新型コロナ対応の緊急融資制度により、1回目は無審査に近い形で資金調達することができたものの、2回目の融資を渋られていることが理由だ。銀行に貸し倒れリスクがない制度融資といえども、返済見通しが立たない会社に対する融資に消極的になってきている。
融資申し込みしたものの、担当者の反応が鈍い場合は「他社と提携して競争力をつけた方が良いのではないか」といったコメントを受けていないか思い出してみてほしい。このような発言は、ほぼM&Aの打診をされたと考えてよい。追加融資は難しいので身売りした方が良いと銀行が考えているということだ。曖昧な回答をすると身売りするよう誘導されるので固辞したい。
また、最近の経営行動について苦言を呈されていないか確認しよう。
例えば、新型コロナ対応融資を役員貸付金の返済に充てていないだろうか。資金繰りが厳しいと銀行に説明していながら、自家用車や調度品など緊急性の低い資産などを購入していないだろうか。特に、新型コロナ流行前からリスケ(返済条件の緩和)している施設は、厳しい目を向けられるのでやめた方がよい。
銀行からの厳しい選別はもう始まっている。事業計画やアクションプランの立案、経営改善につながる補助金申請などを行い銀行が積極的にサポートしたいと考える会社を目指したい。
(アルファコンサルティング代表取締役)