軽井沢には、多くのインバウンド観光客が訪れる
軽井沢(長野県軽井沢町)はジョン・レノンゆかりの地である。妻のオノ・ヨーコさんの実家の別荘があったことで、1970年代後半、息子のショーンさんと一緒に何度か長期滞在をしている。
一家は別荘の近くにある万平ホテルを定宿としていた。買い物をした商店街や、サイクリングの途中で訪ねていたというカフェ「離山房」などの名所には、今も多くの日本人ファンが訪れている。だがこのことは、海外のファンにはあまり知られていないのではないだろうか。
万平ホテルを訪ねてみた。ジョン一家が宿泊していた128号室は今も人気といい、ファンの予約ですぐ埋まってしまうと聞く。部屋番号が、ニューヨークで撃たれて亡くなった12月8日(1980年)を連想させることも人気に拍車をかけているようだ。
カフェではジョンが好んだというアップルパイとミルクティーが人気メニューである。そして時間限定で、バーにあるアップライトピアノが公開されている。ジョンがつま弾き、気に入っていたという逸話が残る。触ることはできないが、至近距離で見学することができる。スタッフにどんな観光客が来るのか聞いたところ、ほとんどが日本人ファンで、外国人はほとんど来ないという。
軽井沢も他の地方都市と同じく、インバウンド客が急増している。長野経済研究所の調べでは、2025年は年間で、長野県全体で前年比8.3%増の4124万人、軽井沢町が同3.6%増の434万人となった。避暑地のイメージが強く、オフシーズンとなる秋から冬にかけて客足が落ちる傾向があるものの、JR軽井沢駅前のアウトレットモールは、主にアジアを中心とした外国人客で常に混み合っている。こうした様子を見るたびに、「ジョンの聖地」であることも知ってもらいたいと残念に思う。
駅メロは、地方創生の手法の一つとして、誰もが知る曲で広くアピールできる点で、地域がまとまりやすく、自治体やアーティスト側の協力も得られやすい。元歌を数十秒から数分にアレンジするのが定番で、その数は全国で200~300にのぼるとみられる。
一方、海外で駅メロの実績はほとんど見当たらない。秒単位で時間に正確な日本では、発車ベルが顧客サービスの一環でメロディーに切り替わっていった。日本独自の鉄道文化といえるからかもしれない。
日本では、地方都市の魅力を発掘して、インバウンドを呼び込むことが喫緊の課題である。そのために、JR軽井沢駅の発車メロディーを”Imagine”にできないだろうか。ジョン&ヨーコが共作した平和を願う曲で、いまや世界のスタンダードになっている。実現すれば、世界中の人が軽井沢に注目し、インバウンド客を呼び込むきっかけになるはずだ。
「ジョン&ヨーコゆかりの地めぐり」は、オフシーズンも含めた通年の観光資源になり得る。きっとヨーコさんもショーンさんも快諾してくれるだろう。
※元産経新聞経済部記者、メディア・コンサルタント、大学研究員。「乗り鉄」から鉄道研究家への道を目指している。著書に「釣りキチ三平の夢 矢口高雄外伝」(世界文化社)、「駅メロものがたり」(交通新聞社新書)など。

軽井沢には、多くのインバウンド観光客が訪れる




