
前回に引き続き、アフターコロナ時代に取り組むべき施策について紹介しよう。新型コロナウイルスの感染抑制を目的とした強烈な自粛要請や衛生指導は、消費者の生活様式や価値観、嗜好を大きく変えてしまった。従前のコンセプトや運営方針、商品サービス、ハード設備では宿泊者の満足が得られない可能性がある。早めに対策を講じて良いスタートを切りたい。
13、団体セールスの手法を見直す
県外自粛要請の解除を受けて、都市部近郊の観光地には宿泊客が戻りつつある。回復基調にあるのは望ましいことだが、個人客は週末や連休に集中するため稼働が安定しにくい。業績を安定させるためには団体客を獲得する必要がある。
幸いにしてGo Toキャンペーンは、職場旅行、教育旅行などの団体旅行も補助対象となっている。うまく取り組むことで業績改善に弾みをつけたい。
団体客誘致を行うにあたり課題となるのが、営業方法である。従前のように地元企業や団体、県外の旅行会社へ巡回セールスしようとしても、感染対策に神経を尖らせる中で歓迎してくれるとは限らない。不特定多数の得意先との接触を避けたいと考えるセールススタッフも少なくないだろう。新型コロナ対策で現場が多忙を極める中で、営業活動に人員を割けないという事情もある。
このような中で取り組みたいのがwebを活用したダイレクトセールスである。名刺交換した取引先データを活用して、Go Toキャンペーンや秋以降を見越したプラン情報を発信することから始めてみよう。
手順は簡単だ。初めに、ウェブサービスを活用して名刺データを取り込む。次に、CRMツールを導入して、定期的な営業情報の発信を行うとともに開封率、クリック率を測定するのである。簡便的に行うならば、メルマガ送信アプリを利用しても良い。無料アプリでもステップメールの送信や開封率の計測が行えるものがある。
団体向けプランのチラシデータをPDFで送るだけでなく、テーブルレイアウトや各種案内、モデル行程表を特設サイトでダウンロードできるようにすると良いだろう。営業スタッフの人員減少により得意先へ巡回訪問できず、疎遠になっていたのであれば、このようなウェブセールス施策はより一層の効果を発揮するはずだ。
(アルファコンサルティング代表取締役)