
前回に引き続き、売り上げ、利益が低下した時の原因究明方法と対策について説明しよう。2020年のオリンピックイヤーを商機として、皆さまの旅館・ホテルでもさまざまな集客策を準備していることだろう。一方で、せっかくのチャンスの年にもかかわらず、足下の売り上げや利益が低下してしまっているという悩みも聞くようになった。迅速に対処して業績低下を食い止めよう。
3、顧客満足度の変化を確認する
口コミ点数の変化は獲得予約、売り上げに大きな影響がある。毎週決まった日に大手代理店やOTAの点数を記録して、獲得予約との関係性を確認すると良いだろう。点数を自動で取得する簡単なプログラムを組めば、転記する手間を省くことができる。
余力があれば、口コミ点数は主要サイトだけでなく、google my businessや旅行検索サイトも確認しよう。最近では、旅館・ホテルの予約サイトだけでなく、サーチエンジンの検索窓から直接、旅館・ホテルや観光地を探すようになっている。そこで重視されるのがgoogle等の口コミ点数だからだ。
口コミ点数の変化と獲得予約、売り上げの変化にはタイムラグがある。点数の変化から1、2カ月後の売り上げへの影響を確認すると良いだろう。明確な関係性が見られるようであれば、点数向上に効果的な施策を立案・実行することが望ましい。
もし、明確な関係性が見られないのであれば、点数の変化と売り上げには関係性がないということになる。このタイミングで口コミ対策をしても的外れだ。前回コラムを参考にして、他に売り上げが低下した原因はないか究明しよう。
獲得予約が堅調だったにもかかわらず口コミ点数が下落している場合には、高稼働日に居住性が低下している可能性がある。混雑しているとサービスが行き届かなくなり点数が低下しやすい。稼働率を重視するあまり、安売りになっていないか確認しよう。
自館が提供する商品・サービスに変化がなくても、周辺施設がリノベーションを積極的に行うと、ハード設備の競争力が相対的に下がり、口コミ点数が低下することがある。この場合には、サービス強化だけで挽回するのは困難である。自施設もリノベーションの検討をすることをおすすめする。
(アルファコンサルティング代表取締役)