前回に引き続き、すぐに効果が出る経費削減のコツを勘定科目ごとに紹介しよう。好況に見える観光業界であるが、政情不安や災害の影響を受けやすいというリスクを軽視してはいけない。多くの利益が出たからといって節税を名目に経費を使い過ぎてしまうと、万が一の時に資金繰りに窮することになる。好況に見える今だからこそ経費の引き締めを行いたい。
12、衛生費
主なものとして、リネン費や洗剤、殺虫剤、マット等のレンタル費、事業ごみ処理費などが挙げられる。リネン費は、人件費の高騰に加え、新規ホテル開業が相次いだことによる需要増により単価は上昇傾向にある。リネン業者から値上げ要請があった場合には、元帳で支払い額をチェックし、売り上げに対する経費率がどれだけ上昇するか検証してから商談に応じたほうが良いだろう。
価格交渉にあたって障害となるのがリネン材のリース契約である。ロゴ入りタオルや浴衣など専用品を使用している場合は、業者切り替えがしにくいため交渉は不利となる。解約金も高額でトラブルになりやすいので契約書はよく確認しておこう。経費削減を優先するならば、リネン材は汎用品を無償支給するというやり方に切り替えていくことをおすすめする。
13、地代家賃
主なものとして、土地・建物所有者に対する地代や家賃の支払い、駐車場の賃借料、従業員寮の借上家賃等が挙げられる。
オーナー経営者に対する地代家賃は、社外へ流出するものではないので無理に削減検討する必要はない。オーナー経営者以外の土地・建物所有者から一括賃借している場合で、業績悪化により家賃支払いに支障をきたす可能性がある場合は、賃料引き下げや変動家賃の一部組み込みなどを打診することを検討したい。
契約書上は賃料交渉不可であっても休業して家賃ゼロとなるのを避けるため止むなく応じたという話は聞くので試してみてほしい。
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(アルファコンサルティング代表取締役)