【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 488】滞在中の魅力アップ策3 アルファコンサルティング代表取締役 青木康弘


 前回に引き続き、予算や人員に限りのある中小旅館・ホテルでもできる滞在中サービスの魅力アップ策を紹介しよう。旅館・ホテルの滞在中の満足度は、チェックイン後や夕食後に提供される館内外のサービスで一層高めることができる。

 館内に談話室やラウンジを設けていながら、利用頻度が低いため昔のままリニューアルもせずに、夜間は施錠、消灯してしまう館は少なくない。このようなスペースを客室以外のくつろぎの場として充実させることで、滞在中の魅力アップにつなげよう。

 談話室は館の個性を演出する場として活用しやすい。例えば、宿や周辺観光地の成り立ち、地域の自然、オーナーのこだわり、趣味を紹介する等の利用が考えられる。古いパンフレットや写真が残っていたらストーリー仕立てにすると滞在客の関心も高まる。周辺の自然環境が豊かならば動植物の展示があると良い。写真のみだと関心を持ってもらいにくいので、実物の展示や説明をクイズ形式にするなど工夫すると良い。

 オーナーの趣味がコレクションであれば、自慢の品を展示しても良い。あるものをただ並べるのではなく、居心地の良い環境作りを意識して内容や配置を工夫しよう。

 旅先のゆったりとした雰囲気にふさわしい図書を並べるのもおすすめだ。書店に平積みされているような平凡なものではなく、こだわりを感じながら手に取りやすい書籍を選ぶと良い。趣味の良いものはオーナーの品格の高さ、こだわりを伝える手段にもなる。宿のコンセプトに合ったものを選べば統一感を出すことができるだろう。

 ラウンジは団体客の待ち合わせ利用が減っているのであれば、思い切って個人客向けの滞在スペースに切り替えることによって魅力アップにつなげることができる。応接ソファのような堅苦しいものを撤去して、カウチソファやハンモックチェアなど長時間滞在しても窮屈に感じないものを配置すると良いだろう。

 チェックイン、チェックアウト時しかラウンジが使用されないのはもったいない。滞在中もくつろぎスペースとして利用できるよう工夫すればサービスの魅力アップにつながる。

(アルファコンサルティング代表取締役)

 
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