【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 480】旅・ホの人手不足解消法4 アルファコンサルティング代表取締役 青木康弘


 前回に引き続き、旅館・ホテルの人手不足解消法について紹介しよう。新規有効求人倍率が常に5倍を超えている現在の状況下でも、人材確保に成功している会社は少なからずある。今までのやり方にとらわれずに取り組んでみよう。

 6、館内の死角をできる限り少なくする

 館のリノベーションや増改築を検討する際は、館内の死角ができる限り少なくなるよう工夫しよう。死角が生まれると、どうしてもスタッフを余分に配置しなければならなくなる。

 例えば、夕食会場の入り口が会場内から見えにくいと、料飲サービススタッフを入り口に常に配置しなければならない。お客さまの満足度向上や会場利用の効率性を考慮すると、入り口に受付カウンターを設けてスタッフを配置したほうが良い。

 しかしながら、経費削減や人手不足に対処するために、やむなく少人数で運営せざるを得ない旅館・ホテルは少なくない。スタッフ数が万全な状況でなくても運営できるよう工夫したい。

 7、マルチジョブ可能な館内レイアウトとする

 フロントや売店、レストラン、喫茶ラウンジ、食事処など館内施設全てにスタッフを配置すると、閑散期に人件費負担が重くなってしまう。1人のスタッフが複数の持ち場を担当できるよう館内レイアウトを工夫しよう。

 例えば、フロントと売店のレジを近接させることができれば、売店に常時スタッフを配置する必要がなくなる。売店の営業時間を延長することも可能となり、人手不足解消だけでなく売り上げアップにもつながるだろう。売店とラウンジのレジを近接させても良い。スタッフを兼任させることで少人数でもシフトが組みやすくなる。売り上げの季節変動が大きい旅館・ホテルは、より大きな改善効果が期待できる。

 8、スタッフ配置を必要とする付帯施設を多く作らない

 増改築によって館を増床する際は、外部専門家から提示されるプランを鵜呑みにするのではなく、人員配置図を作成して必要なスタッフ数を見積もることが望ましい。特に、飲食を伴う付帯施設は、閑散期もスタッフ配置が必要となる割に利益貢献が小さいケースが多い。増床したために閑散期の利益が減少した上に人員不足に陥ったという事態にならないよう注意したい。

 (アルファコンサルティング代表取締役)

 
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