
旅館・ホテルの人手不足が深刻化している。ハローワークが毎月開示する統計によると、直近1年間の接客・給仕の職業における新規有効求人倍率は、新卒が入社する4月を除けば、常に5倍を超えている状況にある。地域によっては8倍を超えることも珍しくなく、会社間で人材の取り合いになっているのが実情だ。
このような状況下でも、人材確保に成功している会社は少なからずある。今回コラムでは、旅館・ホテルの人手不足解消法について紹介しよう。
1、企業サイトで求職者向け情報を充実させる
新卒採用向けに積極的に情報発信している大手企業を除いて、求職者が会社概要や職場環境などの情報を得る手段は限られている。旅館・ホテルの公式サイトは、宿泊者向けに作られているため、求職者が知りたい情報が盛り込まれていないことが多い。ハローワークや民間の求人広告も掲載できる情報量は限られており、皆さまの想像以上に会社の魅力を発信し、関心を持ってもらう手段は少ないのが実情だ。
このような問題を解決するためには、旅館・ホテルの公式サイトに会社紹介の特設ページを追加して、求職者が知りたい情報を積極的に発信すると良い。クラウドソーシングを活用すれば、10万円以内の予算で制作することも可能だ。
盛り込むことが望ましいコンテンツは、企業理念や代表メッセージ、事業内容、会社概要、数値情報、人材教育制度、社員紹介、募集要項である。
数値情報とは、創業年や年齢比率、男女比、職種比率、平均勤続年数、育児休暇取得率など定量的にアピールできる情報のことである。急成長している企業であれば、売り上げや客室数などの成長率をアピールすれば良いだろう。売り上げが伸びていなくても、女性比率が高く、平均勤続年数が長ければ、家庭とのバランスを維持しながら長く働ける会社としてアピールすることができるだろう。
社員紹介とは、入社して良かったことや仕事の内容、福利厚生などを各部署のスタッフにヒアリングしたものをまとめた記事のことである。対象とするスタッフは出世頭だけでなく、会社に愛着を持っているスタッフ、家庭と両立しているパートスタッフなども紹介すると良い。求職者の多くは昇進・昇格よりも安定した職場環境で長く働くことを望んでいるからだ。
(アルファコンサルティング代表取締役)