【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 467】労働生産性のポイント1 アルファコンサルティング代表取締役 青木康弘


 今年4月1日から働き方改革関連法が施行された。時間外労働の上限規制や有給休暇取得の義務化、勤務間インターバル制度、同一労働同一賃金など、旅館・ホテル業界にとって影響の大きいものばかりである。特に、時間外労働や有給休暇に関する規制に違反すると、厳しい罰則規定があるので注意したい。

 仕事のやり方を変えずに新法に対応しようとするとより多くのスタッフが必要となり、人件費の増大につながる。今回コラムでは、労働時間を減らしながら売り上げを維持・向上するためのポイントを紹介しよう。

 労働時間の短縮に最も効果が高いのは、勤務シフトの見直しである。1日単位、1カ月単位、1年単位の三つのステップで、勤務シフトの現状分析と改善に取り組んでみよう。

 1日単位の勤務シフトは、時間帯別の必要人数を算出することで現状分析が可能だ。グラフ化すれば繁閑に応じた要員数を視覚的に把握することができる。繁閑の差が大きいと、人員数が膨らみがちになるので注意が必要だ。解決するには、ピーク時間に行っている仕事の廃止・時間帯変更、マルチシフト化の実施、IoT活用による業務の効率化などに取り組むと良い。

 1カ月単位の勤務シフトは、シフト予定表の形式が妥当か、残業時間が過大となっていないか、退勤時間を管理しているか確認することで現状分析が可能だ。シフト予定表に出退勤の予定時間が明記されていないと、労働時間に無駄が発生しやすいので注意が必要だ。解決するには、月の総労働時間予算の上限設定、仕事の繁閑に合わせた出退勤時間の設定などに取り組むと良い。

 1年単位の勤務シフトは、月ごとの総労働時間と売り上げ(または宿泊客数)のバランスをチェックすることで現状分析が可能だ。解決するためには、毎月の売り上げ(または宿泊客数)に合わせた総労働時間の投入、閑散期の集客イベント実施やダイナミックプライシングによる月ごとの売り上げの平準化などに取り組むと良い。

(アルファコンサルティング代表取締役)

 
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