【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 417】求人票の作り方4 青木康弘


 前回に引き続き、採用活動を円滑に進めるための求人票の作り方を説明しよう。求人票は、仕事内容、給与、待遇、賞与、昇給、転勤、社会保険、勤務時間、休日・休暇、福利厚生、残業時間、有給取得実績、教育研修制度の13項目で構成するのが一般的である。

 この作成法を実践したことにより新卒採用に成功したと喜びの声もいただいている。皆さまの旅館・ホテルでもぜひ取り組んでほしい。

 11、残業時間

 最近は会社紹介資料において残業時間の実績を示すことが多くなった。旅館・ホテル業は残業が多いのではないか、仕事が大変なのではないかというイメージを持っている求職者やその親族は少なくないので、正確な情報開示を行った方が良いだろう。社外に公開することをルール化することは、残業抑制にもつながる。文例としては、「月平均5時間(2017年実績)」などが挙げられる。

 12、有給取得実績

 旅館・ホテル業界はシフト制であるため、有給休暇が構造的に取りにくい会社が多い。一方で、このことに甘んじていると優秀なスタッフの採用にはおぼつかない。採用面接で有給取得の状況を聞かれても正々堂々と回答できるよう集計しておき、開示できるようにしたい。文例は、「10日(2017年実績)」などが挙げられる。もし現状で有給取得率が低いのであれば、改革する良いチャンスと捉えよう。

 13、教育研修制度

 教育研修制度は、若手スタッフが入社企業を決める時に、待遇や休日・休暇と同様に重視する項目の一つとなっている。昔は、仕事は自分で覚えるものだ、先輩の技術を盗むものだと教えられたものだが、最近では教育研修制度の充実状況が採用の成否を分けるポイントとなっている。早期戦力化にもつながるので、制度充実に努めたい。

 文例としては、「語学研修、接遇研修、電話応対研修、PCスキル研修、新任管理職研修、職場リーダー研修、コーチング研修、料理コンテスト、入社前研修、インターン制度」などが挙げられる。予算の限られる中小旅館・ホテルであれば、社外の集合研修にスタッフを派遣するのが良いだろう。
 今後もスタッフ採用は年々厳しさを増していくだろう。魅力的な求人票を作成して多くの学校、他の職種から人が集まる業界を目指していこう。

(アルファコンサルティング代表取締役)

 
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