【観国之光 467】猛暑の夏 万全の対策で旅を 観光経済新聞 論説委員 内井高弘


暑さを避ける場所「クーリングシェルター」のマーク

 今年の夏も猛暑日(最高気温が35度以上の日)が続きそうだ。いや、早い時期から猛暑は始まっており、7日には静岡市において全国で初めて40度を記録した。昨年8月10日に石川県小松市で観測されて以来だ。

 昨年も暑かったが、今年はそれ以上という見方もある。ひと雨ほしいところだが、降ると容赦がなく、警報級の大雨となる。土砂災害や河川氾濫から命を守るための備えを再確認したい。しとしと降る雨が長く続くという梅雨のイメージは今はもうない。

 気象庁が11日発表した向こう1カ月(7月13~8月12日)の気温は全国的に高い見込み。特に期間の前半は全国的に高く、かなり厳しい暑さとなりそうだ。秋も短そうで、四季がはっきりしなくなりつつある。

 ブッキングドットコムが実施した今年の「旅行トレンド予測」に関する調査では、「気候変動が今年の休暇の計画に影響を与えるだろう」と回答した世界の旅行者は51%を占め、過半数(56%)が「住んでいる地域の気温が上昇しているため、休暇では涼を求める」とした。

 同社は「暑さを和らげ、夏バテを解消するため、『水』と触れ合うことを重視した旅行が人気になる」と予想する。

 熱中症による事故が増えているためか、「不要不急の外出は避けて」と注意喚起される時代になった。コロナ禍の時に聞いたようなフレーズだが、観光への影響が心配だ。水分の補給やクールダウンのほか、「暑熱順化」といって温浴やサウナなどに入って暑さに体を慣れさせることも効果があるという。

 クーラーの効いた部屋で過ごすのもありだが、猛暑対策を心掛け、旅に出て気分転換するのもいいのでは。

 涼しい場所に行くのも手。東京近辺も探せばけっこうある。例えば草津温泉(群馬県草津町)。海抜1200メートル。東京スカイツリーのほぼ2倍の高さに位置し、7~8月の平均気温は20度以下で、夜はエアコンもいらないという。

 記録が残る過去100年以上、一度も猛暑日がないというのが千葉県勝浦市。海底の地形や風の流れなどが影響しているといわれ、テレビニュースでは「風が涼しくて遊びやすい」と観光客も太鼓判を押していた。地元も避暑地としてアピールしている。

 今年から「熱中症特別警戒アラート」が新設され、アラートが出た時に暑さをしのぐ「クーリングシェルター」(指定暑熱避難施設)を市町村が指定できる法律も施行された。

 設置済みの自治体はまだ少ないが、旅行先にクーリングシェルターがあるかどうかを調べておくのもいい。夏本番、快適な旅を。

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