
今年の新語・流行語大賞でトップテンに入った「Go Toトラル」。今年の業界を象徴する言葉だろう
今年の世相を反映した言葉を選ぶ、年末の風物詩「2020ユーキャン新語・流行語大賞」(「現代用語の基礎知識」編)が1日、発表された。ノミネートされた30選の中から、年間大賞には「3密」が選ばれた。
トップテンには新型コロナウイルスの影響を反映した言葉が並び、コロナで始まり、コロナで終わる1年だったことを改めて象徴している。
3密はウイルスの感染拡大につながる「密閉、密集、密接」を表す。旅館も対応を余儀なくされ、大浴場の混雑を避けるため、混雑状況や混雑予測を部屋で確認できる専用アプリを導入したり、食事は客室や個室での提供に変更するところもある。
感染拡大がいわれる中、しばらくは3密対応が欠かせない。3密対策に取り組む宿情報を発信するサイトもあり、密を逆手に取り、集客のため安全安心を強くアピールする方法を考えてみるのも手か。
トップテンをみると、「アベノマスク」や「Go Toキャンペーン」、疫病退散の願いを込めてイラストなどが流行した「アマビエ」、オンラインによる飲み会や授業などを表す「オンライン〇〇」が入った。
実に五つがコロナに関連する言葉で、選考委員の1人、言語学者の金田一秀穂さん(杏林大特任教授)は「コロナに関するいろいろな言葉がやたら出てきて、見ているだけでうんざりするような年だった」と告白する。
業界にとって特に関係の深いのが政府の観光支援策、Go Toキャンペーンだろう。トラブルはあったものの、コロナ禍で落ち込んだ観光需要を喚起したことは間違いない。
現在、Go Toに厳しい目が注がれているが、政府は来年6月まで延長する方針を決めた。筆者も景気の下支え役としてトラベルは必要だと考える。
ただ、支援策はいずれ打ち切られる。反動がどう出るか心配だ。政府には「はい終わり」ではなく、緩やかな終了と共に、Go To以外の新たな支援策の検討を求めたい。もちろん、業界・事業者の自助努力も欠かせない。
トップテンにはこのほか、韓国ドラマの「愛の不時着」、人気ゲームの「あつ森(あつまれどうぶつの森)」、大ヒットの「鬼滅の刃」、1人でキャンプを楽しむ「ソロキャンプ」、お笑いタレントの「フワちゃん」が選ばれた。
年初はコロナで日本、世界がこれだけ大打撃を受けることは想像すらできなかった。何が起きるかつくづく分からない。
来年はどんな新語・流行語が出てくるだろうか。明るい言葉が生まれることを願ってやまない。
今年の新語・流行語大賞でトップテンに入った「Go Toトラル」。今年の業界を象徴する言葉だろう