
食品ロスは食料自給率の低い日本にとって大きな問題だ(写真と本文は関係ありません)
国によると、毎日10トントラック約1680台分の食べ物が捨てられている。国民全員が茶わん1杯分のご飯を毎日捨てているのと同じ量だ(2017年度推計)。
もっといえば、世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食糧援助量の約1.6倍に相当する。
19年5月に「食品ロスの削減の推進に関する法律」が公布され、10月に施行された。これに伴い、毎年10月が「食品ロス削減月間」、10月30日が「食品ロス削減の日」として定められた。
食品ロス―本来食べられるのに捨てられてしまう食品のことだ。国の推計(17年度)によると、わが国では年間2550万トンの食品廃棄物が出されており、このうち食品ロスは約612万トンに上る。
ピンとこないが、前述の例えだと少しは実感が湧くのではないか。
612万トンの内訳は、食品製造や外食産業などの事業系が328万トン、家庭からは284万トン。事業系は前年度から24万トン減ったが、家庭での減少はわずかだったという。
宿泊施設からも食品ロスは出ている。バイキングを前にした時の品数の多さや、酒が進むあまり食べ物を残す光景を見ると、「この後はどうなるのだろう」と思ってしまう。筆者とても食品ロスをどこかで出しているのだから、偉そうなことは言えないが。
宴会時の食べ残しを減らすため、乾杯後30分、お開き10分前は自席で食事をしようという「3010運動」も提唱されているが、なかなか定着しないとも聞く。
環境省・農水省などはこのほど「NEWドギーバッグアイデアコンテスト」の結果を公表した。
「食べ残した料理について、自己責任で持ち帰ることを身近な習慣として広め、利用者と店の相互理解の下で、飲食店等(ホテルなどの食事の提供を伴う事業を実施している事業者を含む)における持ち帰りの実践を促す、社会的な機運醸成を図ることを目的に開催する」のが趣旨。ネーミングや持ち帰り容器のデザインなどを公募していた。
持ち帰る取り組みを「mottECO(モッテコ)」の呼称で普及させていくことが決まった。一般からの応募で決めた。「もっとエコ」「持って行こう」との意味が込められている。
食品ロスをなくすにはさまざまな分野での対策が必要になる。消費者一人一人の食習慣や消費行動の見直しも欠かせない。3010運動にしても、宿泊施設の呼び掛け、客の協力がないと成り立たない。
政府は30年度までに490万トン程度に減らす方針という。「もったいない」「モッテコ」の精神を大切にして、ロス削減を進めたい。
食品ロスは食料自給率の低い日本にとって大きな問題だ(写真と本文は関係ありません)