【観光立国・その夢と現実 29】追悼!安倍晋三内閣総理大臣 小原健史


 本年7月の参議院選挙の真っただ中、安倍晋三先生が暴漢の銃弾に倒れられた。安心・安全で平和なわが国で起きた大事件である。

 私は、6月上旬に安倍先生に面談を頂き「政府が新型コロナで外出自粛を奨励し、感染防止とはいえ、その結果、強烈に旅行や飲食が制限され、旅館ホテルや飲食店は大打撃を受けた。よって、コロナの期間中の運転資金の借入金は”令和の徳政令”で返済不要にしていただきたい。また、破綻する旅館ホテルも出てくるであろうから事業者からの視点で事業再生ができる政府系の事業再生ファンドを創設してほしい!」とお願いした。

 安倍先生からは「政府系のファンドはないの?」と質問されたので「現在でも政府系のファンドはありますが、その視点は金融機関の不良債権処理からであり、私の経験からは、十分に機能してないと思います」と同行の仲間と述べた。

 安倍先生からは、数点の指摘を頂き、その作業を進める中で、この銃撃事件が起きた!

 安倍先生は会うたびに「小原会長、もう一度、参議院選挙やろう! 今度は落とさないよ!」と言われて励まされたが、今はただ、心からご冥福をお祈りするばかりである。

 全旅連と政治の関係は、群馬県選出の山本富雄参議院議員の事務所に全旅連事務局から清澤正人氏が秘書として出向した頃に前後して、山本富雄全旅連会長が誕生した。その当時から福田派・安倍派・三塚派の「清和会」と全旅連の縁が極めて深くなった。

 安倍晋三先生もご尊父の秘書をされていたことから全旅連のことはよくご存じで、なにかとお世話になっていたと聞いていたが、私が安倍先生と緊密な話をしたのは、民間の建築士が起こした耐震偽装問題の時で、真新しい総理官邸で当時官房長の安倍先生に陳情書を携えて全旅連の仲間のビジネスホテル等の耐震偽装問題の解決を訴えた。その際、官房長官の立場でありながら時間を割き、丁寧な応対をしていただいた記憶が、今よみがえる。

 時間は飛ぶが、小泉総理のもとで官房長官をつとめられ北朝鮮電撃訪問などに手腕を発揮された。その後、内閣総理大臣に昇りつめられたが、体調不良を起こし短期間で退任された。

 私の地元の佐賀県では、九州最大のゼネコンの松尾建設の伊東正美さん、JA佐賀の中野会長さん等と協議して「安倍晋三・佐賀後援会」を組織していたが、〔良い時ばかりの後援会では意味がない。失意の今こそ、もう一度総理に!〕を旗印にして政治パーティーを佐賀県でやろう!と決議し、その会場は東京都内の一流ホテルではなく、嬉野温泉・和多屋別荘で開催した。

 安倍晋三先生は、東京都にある成蹊大学出身で、私は成城大学、それに学習院大学、武蔵大学を加え、これらを四大学〔元の七年制高校:毎年、合同体育祭や文化祭を開催していた〕と言うが、九州各地からこの四大学の出身者を集め、地元佐賀県の自民党関係者とともに盛大な激励会を行った。

 安倍先生は、大学生時代の友人と久々の久闊(きゅうかつ)を叙され、大いに喜んで楽しんでいただいた。その後、安倍晋三先生は総理大臣に復帰され8年にわたり国政のかじを握られた。

 何かの折に直接伺ったことがあるのは「私は第1回目の総理を不本意に退陣した後、何がいけなかったのか? その全てをノートに書きだした。もし、もう一度総理をやるなら、こうする! こうすべき!」と。 そのノートは言うまでもなく長期政権を担う際に役だったことであろう。 

 〔反省と再チャレンジ〕。安倍先生の遺訓として大事にしたい!

 安倍晋三内閣総理大臣は在任中に、日本の立ち位置を明確に世界に示された。世界をリードする政治家が平成・令和の日本に生まれたことをわれわれはいつまでも忘れずにいたい!

(元全旅連会長)

 
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