【観光立国・その夢と現実 18】レジャーホテルに公的融資を! 小原健史


 前回は「風営法の旅館への適用」を除外する運動について記載したが、全く同じ方向性が〔レジャーホテルへの公的金融機関の融資の適用除外〕についてもみられる。

 レジャーホテルの経営者の皆さんは、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(=全旅連)の会員であり、特に大都市圏に多くの会員が存在する。

 レジャーホテルは旅館業法の営業許可をとり、地元旅館組合や全旅連の会員でもあり、その組合費を支払っていてもレジャーホテルの形態をとっているが故に公的な金融機関の融資の対象にはならないのである。

 私が全旅連会長に就任した際に、「レジャーホテル委員会」を組織し、この問題に取り組んだ。レジャーホテルの経営者の方々の意見を聴けば聴くほど公的金融機関の融資が、何をもってNO―GOOD=NGなのか曖昧模糊(ちこ)としていた。

 委員会を数回開催後に、数名の委員と共にこの問題に関する融資元の国民金融公庫本部に陳情に行った。国金では「われわれは融資しても構わないが、NGの指示は厚生労働省から来ているので…」と言う。取って返して厚労省の担当部署に乗り込んで、詰め寄ると「レジャーホテルさんと一般の旅館ホテルさんは違うでしょう!」と言う。私が「申し訳ないが、何が違うんですか?」、厚労省「小原会長さんのお宿とレジャーホテルとは違いますよね!」と、レジャーホテルを経営している委員の目の前で逆に聞く。私「いや、何も違いません。保健所で同じ旅館業法の営業許可を受け、地元旅館組合に加盟し、組合費も払い、同じように地元のイベントにも協力している。このように同じ努力や活動をするレジャーホテルの会員は、一般の旅館ホテルと同じように公的融資を受けられるべきだ!と私は思う。全旅連会長として差別は認められない!」と詰め寄る。

 厚労省はいわく「そう言われても、過去の国会の質疑で〈某小学校の校門の真ん前にラブホテルがあり、子どもの教育に悪影響がある。そのようないわゆるラブホテルへは国民の税金を原資とする国民金融公庫の融資をすべきではない!〉との意見があり、それを受けてわが役所ではレジャーホテルには公的な融資をしないようにしています」とのことであった。

 私はレジャーホテルの経営者も同席の上でさらに粘る。「今日は、レジャーホテル委員会を開催した後に、該当する経営者さんたちと共に陳情に来ました、もう一度言います。小学校の校門前のラブホテルが不謹慎で駄目=NGということは、SEXが不謹慎だ!ということですか? 私の旅館でも新婚さんやご夫婦、カップルのお客さまがたくさんお見えになります。その場合も旅館ではSEXはNGということですか? 都会の一流ホテルでも不謹慎なSEXはNGなんですね!」。 

 厚労省は「そんなことは言ってないでしょう。われわれは国会で決まったことを勝手に変えることはできないのです」と猛烈に反撃してきた。話は限界点に来た。要するに昔々の国会の議論で「校門前のラブホテルはけしからん!」と言ったことが法律になったのであれば(後日、調査したら法律ではなく厚労省の課長通達であったのだが…)これを解決するには、旅館ホテル業界の代表を国会に送り込み、その議員が「憲法に保障された自由平等の原則から、旅館ホテルの経営の形態にかかわらず同じ法律の下で営業許可をとったものは公的な融資も平等に受けることができるべきだ!」と発言し、時代遅れの遺物のような通達は取っ払うことで解決するしかないのである。レジャーホテルへの公的金融機関の融資は、風営法の適用と共に、いまだに解決していない。残念無念である。

 (今回も、記載内容に一部不穏当な部分がありますが、交渉の臨場感の記録としてお許しを頂きたいとお詫びとお願いを申し上げます!)。

 (佐賀嬉野バリアフリーツアーセンター会長)     

 
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