私の視点 観光羅針盤
7月、熊本市で「第2回グローバル・ネイチャーポジティブ・サミット」が開催された。27カ国・地域から企業や自治体、金融機関、研究者ら約2700人が参加し、自然資本を企業経営や地域経営にどう生かすかを議論した。閉幕時には「熊本宣言」が採択され、2030年に向けたネイチャーポジティブの実現へ、80を超える企業・自治体・団体が行動加速を表明した。
開催地の熊本は、世界有数の地下水都市であり、阿蘇の草原や豊かな森林など多様な自然資本に恵まれる。一方で半導体産業の集積が進み、経済成長と自然環境の両立に挑む。熊本が舞台となったこと自体が、「自然か経済か」ではなく、「自然を生かしながら経済を成長させる」という新たな地域経営を象徴している。
「ネイチャーポジティブ」という言葉は、まだ広く浸透しているとは言い難い。しかし、その背景には世界経済の価値基準が大きく転換しようとしている現実がある。これまで世界は気候変動対策として「カーボンニュートラル」を掲げてきた。一方で、生物多様性の損失や自然資本の劣化が経済や社会の持続可能性を脅かしている。2022年に採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組」では、「2030年までに自然の損失を止め、回復軌道へ転換させる」という世界目標が掲げられた。
今回のサミットでは、自然資本経営を進める四つの方向性が示された。
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