【観光業界人インタビュー】JTBトラベランド社長 伊藤正人氏


JTBトラベランド社長 伊藤正人氏

JTBトラベランドの経営方針

トップリテーラー目指す 強みの店舗にネット融合

──JTBトラベランドの取り巻く環境をどう見ている。

 「必ずしも良くない。旅行に対する消費が右肩上がりではないうえ、マイナスインパクトとして燃油サーチャージの問題が上乗せされた。今年頑張れば来年は明るいというものではないだろう」

「新街づくり3法で、地方都市の郊外型ショッピングセンターの建造を規制している。トラベランドの店舗はショッピングセンターの中にあるものが大半を占めるので、今後、出店拡大のチャンスはあまり期待できない。だいたいここ数年間、15店舗を新設して10店舗を撤退する、差し引き5店舗の純増というペースでやってきている。5店舗が増えることよりも、撤退して10店舗が新陳代謝をすることに意味があるのだが、このペースを守れなくなりそうだ」

──経営的な課題は。

 「トラべランドは旅行業界の中でトップリテーラーを目指す。実際、それに近い位置にいる。特に店舗の強さはかなりいい線をいっていて、これを最強のものにするのが第一の課題だ」

「大きな強みは、インフラも含めて軽装備であることと、400の店舗があってJTBグループの中で最も多くのお客さまに密着していること。おそらく他社と比べてもすでにかなり軽装備で、これは維持に努める。一方、お客さま密着については、足元の問題として最重要視している。感謝の念から『お客さま』と呼ぶのだが、お得意さまの名前も呼ばずにいるのでは密着はできない。互いに名前を呼んで通じ合える親しみのある店舗、販売員を目指すのが、わが社のCSだ。これもかなりの水準に達している」

「 社員の意欲とノウハウも我が社の強みだ。教育と研修に相当力を入れて、磨き続けている」

──バーチャルな部分での取り組みは。

 「店舗の課題に匹敵するのが、リアル店舗とインターネットの利便性を融合させて、新しいリテーラーとしてのビジネスモデルをどう作り上げていくかということ。これからの旅行商品販売はインターネットを無視しては語れない。JTBグループ全体として、情報はインターネットで見て、申し込みはコールセンターに電話して、あるいは店に来て、というクロスチャネルを促進している。その考え方は間違っていないので、全国400店舗、ショッピングセンターの中という強さを生かした、トラべランド独自のビジネスモデルを確立していきたい」

──国内宿泊の販売方針を聞きたい。

 「国内旅行は我々の生命線だ。07年度の売り上げは2590億円程度。うちギフト券、保険などの売り上げを除いた純粋な旅行分は2172億円となる。海外旅行との構成比は71%が国内旅行で、JTBグループの平均値が60%くらいだから、国内型と言える。宿泊商品はわが社の売り上げの20%を占めている。宿泊商品の増売は、わが社の課題そのものだ」

──リテーラーとしてJTB協定旅館ホテル連盟とはどのような形で連携していく。

 「一緒に何かできないかと常に現場レベル、あるいは本社の販売担当レベルで模索している。販売に徹する我々は、お客さまにもっと宿泊を購入してもらえるよう販売促進面を中心に積極的に連携していきたい」

──具体的な計画は。

 「埼玉県越谷市に新しく大規模なショッピングセンター『イオンレイクタウン』が10月2日にオープンする。ここにJTBトラべランドと、JTB首都圏の海外旅行専門店、JTB商事の旅行商品店などが出店し、『トラベルストリート』という名称で200坪ほどのエリアを形成する中に、35坪のイベント用スペースを設ける。例えば、こういう空間で、JTB旅ホ連の女将さんたちが来て土地のものを紹介する、というような仕掛けを考えている」

──地震の風評に悩む東北とかをテーマに、ぜひ実施してほしい。

 「実は、第一弾に東北をと考え、旅ホ連に話をし始めたところだ。オープンする10月2日は、紅葉を直前に控えた絶好のタイミング。埼玉南部最大のショッピングセンターだから、関東から首都圏にかけた市場にPRするのに最適だ。地震の風評被害にあった宮城、岩手だけでなく、東北全体で盛大にやってほしい。イベントという大々的なものでなくても、パンフレットを配ってアピールしてもらうだけでもいい」

JTBトラベランド社長 伊藤正人氏

 
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