【観光業界人インタビュー】日本ハウスホールディングス 成田和幸社長


成田社長

リゾート事業への取り組み

関東中心に合計10軒 売上100億円を目指す

 「ホテル森の風鶯宿」など関東、東北を中心に5軒の旅館・ホテルを展開する日本ハウスホールディングス(HD)グループ。グループCEOで日本ハウスホールディングス社長の成田和幸氏に今後のリゾート事業への取り組みを聞いた。

 ――グループ全体の事業は。

 「メインは注文住宅の建築、販売。最高級素材のヒノキにこだわった家造りをしている。売り上げの9割が住宅で、残りの1割がホテル事業だ。グループ会社の日本ハウス・ホテル&リゾートで展開している。観光は成長産業だ。今後は今の9対1から8対2ぐらいまでにホテル事業を伸ばしたい」

 ――日本ハウス・ホテル&リゾートは今年6月、ホテル東日本から現在の社名に変更した。

 「老朽化した二つのホテルを売却したのを機に社名変更した。スクラップ&ビルドで、ホテル事業を新たに構築しようとの思いからだ」

 ――現在所有する旅館・ホテルは。

 「ホテル森の風鶯宿(岩手県)、ホテル森の風立山(富山県)、ホテル東日本宇都宮(栃木県)、そしてこの10月11日にオープンしたホテル森の風那須(栃木県)とホテル四季の館那須(同)の5軒だ。鶯宿は温泉もさることながら、併設する英国式ガーデンが素晴らしい。立山は人気のアルペンルートにあり、山の景色が最高。宇都宮はフランス料理が評判だ」

 ――新たにオープンした那須の2軒は。

 「1万5千坪の敷地内に展開する。ホテル四季の館那須は武家屋敷をイメージした和の造りで、4寸、5寸のヒノキ材を柱に使っている。30の全ての客室に温泉掛け流しの露天または半露天風呂を備えている。料理は宇都宮のホテルで評判の本格フランス料理を提供する。料理も含めて非日常的な空間になっている」

 「ホテル森の風那須は、主にファミリー層をターゲットにしている。客室は90室。最上階の温泉は那須連山と田園の見事な景色を一望する。料理は創作イタリアン、創作和食を提供する」

 「一帯は『那須みやびの里』と命名し、2軒の宿泊施設のほかに、25種類、500本の桜を植えた。これらを含めた庭の造成は、鶯宿のガーデンもデザインした世界的ランドスケープアーティストの石原和幸さんにお願いした。那須の土地は2万5千坪を取得しており、残りの土地は別荘やコンドミニアム、観光果樹園など、さまざまな利用を考えている」

 ――ホテル会員権事業を今年8月に始めた。どのような事業か。

 「名称は『みやび倶楽部(クラブ)』。お客さまから入会金と預託金をいただき、グループの全施設で使える優待利用券を発行する会員制のクラブだ。ホテルの宿泊代や飲食代が原則2割引になる。不動産が付かない会員権のため、リーズナブルな価格で販売している」

 「これからは高齢社会になる。定年を迎えた人が、ちょっと温泉でも行きたい、というときに気軽に行けるのがコンセプトだ。個人やファミリーのほか、企業にも社員の福利厚生として利用していただきたい。われわれの視点から見れば、平日の稼働率を高められるメリットがある」

 ――会員権の販売目標は。

 「10年以内で3千口を目指す」

 ――今後のホテル展開は。

 「関東を中心に、あと5軒、合計10軒の展開を目指す。既に箱根(神奈川県)の芦ノ湖で2020年夏の予定で開業が決まっている。名称は『ホテル四季の館 箱根芦ノ湖』。客室29室で、全室源泉掛け流しの露天風呂付きスイートだ。眼下に湖を望む景色が素晴らしい」

 「このほか熱海、富士山麓、軽井沢、千葉などで新規の建設を考えている。全て30室前後の、ヒノキを使った木造和風建築だ。当社は建築会社なので、ほかのホテルを買収することは考えていない。従業員教育に時間がかかるので、2年に1軒ぐらいのペースで開業できればいい。ホテル事業の売り上げは現在約55億円。10軒で100億円ぐらいに伸ばしたい」

なりた・かずゆき=昭和51年東日本ハウス入社。平成2年函館支店長、平成5年取締役、常務を経て平成14年から社長。日本ハウスHDグループCEOを兼務。北海道産業短期大学(現道都大学)建築学科卒、北海道出身65歳。

【聞き手=森田淳】

 
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