【観光業界人インタビュー】グーグル第一広告営業本部旅行業界担当統括部長 陳内 裕樹氏


グーグル第一広告営業本部旅行業界担当統括部長 陳内 裕樹氏

旅のステップに無料機能

スマホ急伸は革命的変化

──グーグルの旅行業界チームとは。

 「グーグルは『世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにする』という企業ミッションを持っている。日本でも旅行業界チームが積極的に活動している。各国にグーグルの営業拠点が開設される際、最初に旅行業界チームが置かれることが多い」

 「グーグルは単に検索の会社ではない。旅行者の旅行関連行動の各ステップに対応する便利な機能を整備、提供している」

──各ステップとそれに対応する機能とは具体的に何か。

 「グーグルが定義する旅のステップとは、『旅への興味』『情報収集』『計画立案』『目的地』『シェア』だ。これがサークル状に循環している」

 「旅への興味では『YouTube』『ストリートビュー』『おみせフォト』、情報収集では『検索』、計画立案では『グーグルマップのマイマップ機能』、目的地では『グーグル+ローカル』『グーグルマップ』、シェア(共有)ではSNS『グーグル+』などの無料サービスを提供している」

 「特にストリートビューの観光地撮影では、日本は世界で最も進んだ国の一つになった。いま世界中の人々が、パソコン、スマートフォン、タブレット端末で日本の観光地の風景を無料で見ることができる。また世界中の美術館が所蔵する作品を高画質で見られる『アートプロジェクト』も進行中だ」

──旅館・ホテルの内部撮影プロジェクトもある。

 「『おみせフォト』を活用し、館内を公開する旅館・ホテルも増えてきた。JTBもグーグルの撮影パートナーとなっている」

 「旅館の大浴場の様子、館内の段差の状況なども確認できる。インバウンドの誘客、バリアフリー対応の情報発信などにも役立つ」

──YouTubeを使えば、無料で全世界に日本の観光地の動画情報を発信できる。

 「YouTubeには世界で月間10億ユーザーがいる。諸外国では観光プロモーションにYouTubeの動画広告を積極的に活用している。日本でも大手旅行会社がテレビCM実施時にYouTube広告を併用することが増えてきた」

───OTA(オンライントラベルエージェント)ではスマートフォンからの旅行予約比率が急伸している。

 「12年は11年比でスマホからの旅行キーワード検索が5倍になった。また13年1〜3月期の旅行キーワード検索の経由デバイス比率はモバイルが50%、パソコンが46%で、初めてモバイルがパソコンを抜いた。これは去年では考えられなかった急激な変化だ。世界の中でも日本で、産業界の中でも観光・旅行業界で起こっている革命的な変化といえる」

──スマートフォンは文字が打ちにくい。

 「パソコン経由とスマホ経由の検索行動を分析すると週末、平日で逆の活用特性がある。1日の中でも時間帯によっても変化する。自宅、通勤電車内、職場、アフター5などで検索するデバイスを使い分けているのが分かる。タブレット端末経由もこれから伸びるだろう。日常顧客接点を考えると、マルチデバイスの活用がますます重要になる」

 「スマホは旅行者が常に持ち歩くデバイス。観光・旅行業界はこのことをよく認識し、対応していく必要がある。いまだにスマホ向けの最適化ができていないウェブサイトもあるが、早急に対処すべきだ」

【じんない・ひろき】
横浜国立大学卒。91JTB入社。法人営業、市場開発、e-コマース、営業本部、国内仕入戦略、地域コンテンツ開発を担当後、10年グーグルに転職。現在、日本マーケットにおける旅行業界責任者。

グーグル第一広告営業本部旅行業界担当統括部長 陳内 裕樹氏

 
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