宿泊施設の朝食って、とても大切だ。どんなに素晴らしい夕食でも、宿を出る時には既に想い出で、さっきいただいたばかりの朝食のイメージだけが鮮明に脳裏に残ってしまう。
それだけではない。東日本大震災以来、日本人にとって「朝食」の位置づけが変わったとされている。
輪番停電などの影響で生活時間帯が早めにシフトし、「朝活」という言葉も生まれた。それに伴い、飲食店で朝食をとる習慣も根付いてきた。朝早く海外から進出してきたオシャレなカフェに出向き、パンケーキを食べるのがイマドキの流行り。当然宿泊施設の朝食への期待感もハードルが高くなり、コンチネンタルブレックファーストのように簡素なものはすっかり影を潜め、豪華な朝食ブッフェが人気を博すようになった。ネットの朝食ランキングなどがそうした流れに拍車をかけ、朝食の充実度はもはや宿泊施設自体の評価を左右するようになってきている。
沖縄の「ホテル日航アリビラ」はそうした朝食の評価が高い。選択肢もいくつかある。まずは、日本料理・琉球料理「佐和」の「定食&こめ食バイキング」。目の前で調理してくれる「海ぶどう・もずく醤油ご飯」など、お米の美味しさを堪能できるメニューがバイキングで楽しめる。
沖縄伝統料理を中心とした「ぬちぐすい定食」も評判だ。「ぬちぐすい」とは「命の薬」という意味で、化学調味料や着色料、香料を一切使用しない、こだわりの朝食である。
もう一つは、カジュアルブッフェ「ハナハナ」の和洋バイキング朝食。沖縄そばや人参シリシリといった沖縄料理や、洋朝食の定番料理の他、マカロニグラタンやピラフなどキッズメニューも充実している。
そして一番人気は、ブラッスリー「ベルデマール」の洋食バイキングだ。148席もあるのに、前回訪れた際は何と25分待ちだった。シェフが目の前で焼き上げてくれるふわふわなオムレツや、卵に一晩漬け込んだフレンチトーストが人気。具志堅日出夫料理長のおススメは、沖縄ならではの黒糖フレンチトーストと、紅芋ジャムやパインバター。アンパンマンをココアでかたどったキッズプレートも用意され、子どもも大喜び。心憎い演出だ。
サラダは野菜の種類だけでなく具材も豊富。モズクや豆類の他、カラダに良いスペルト小麦があるのは珍しい。和風、フレンチ、オーロラなど6種類もドレッシングがある上、ラズベリービネガーはじめお酢やオイルも並んでいた。
あちこちに「シェフおすすめの召し上がり方」といったPOPがあり、硲啓員総支配人率いる同館スタッフのホスピタリティマインドを物語っている。朝食ブッフェのクオリティを上げているのは、料理内容だけではない。笑顔を絶やさない彼ら、彼女らの、いらっしゃいませと言う声のトーンや、空いたお皿をスグ下げるキビキビした動きから、気持ちが伝わって来るのだ。「さぁ、朝食を楽しんで下さい!」
※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。