【竹内美樹の口福のおすそわけ 325】海の向こうの思い出の味 第1弾クラムチャウダー その3 宿泊料飲施設ジャーナリスト 竹内美樹

  • 2020年7月15日

 米国東海岸の旅の続き。宿泊予定のアトランティックシティがハリケーンの直撃を受け封鎖されていたため、急きょ向かったフィラデルフィアに到着した頃には、既に日付が変わろうとしていた。サスガに疲労困憊(こんぱい)、ホテルの部屋にたどり着いた途端にBTQ(バタンキュー)。

 アメリカ建国の地フィラデルフィアには、世界遺産の建物「独立記念館」や、独立の象徴「自由の鐘」などがあるが、前年観光したばかり。だが実は、お買い物天国でもある。衣類と靴に消費税がかからないのだ。なので、翌日はショッピングモールにGO! そして、分厚いプライムビーフの夕食で英気を養った。

 その翌日、いよいよNY(ニューヨーク)へ。ホテルが避難民であふれてるって、どういうこと?と半信半疑だったが、至る所に倒木など嵐の爪痕が。それもそのはず、NY市内では約100万人が停電被害に遭い、公共交通機関は全面ストップ。ウォール街の証券取引所も同時多発テロ以来の取引停止となるなど、都市機能が完全にまひしていたらしい。

 到着後レンタカーを返しに行くと、返却予定の店の入り口にクローズの文字が! 自力で他の支店を探すハメになったが、アクシデントといえばそれぐらいで、あとはおおむねいつも通りにNYを満喫した。トライベッカ地区にある大好きなカフェ「オデオン」にエッグベネディクトを食べに行ったり、グッケンハイム美術館を訪ねたり…。

 おっと、口福のおすそわけでなく旅行記になるところだったが、本題のクラムチャウダーについて。

 NYで筆者がよく行くレストランの一つ「グランド・セントラル・オイスター・バー」。1913年創業の老舗が提供するのは、ニューイングランドとマンハッタン、2種類のクラムチャウダー。以前両方を食べ比べてみたことがあるが、やっぱりこの店の名物だけあって、ニューイングランドの方に軍配が上がる。

 同店ではボウルでもブレッド・ボウルでもなく平らなスープ皿だが、どの店でも小さな六角形の「オイスター・クラッカー」を添えるのがお決まり。砕いて入れ少したち、スープが染みたのが好きな人もいるけど、筆者は異なる食感が楽しめるクリスピー派♪

 ちなみにブレッド・ボウル入りは西海岸発祥だ。ゴールドラッシュに沸くサンフランシスコにフランスから移住したパン職人が、空気中から採取した菌で天然酵母を作り、酸味のある生地サワードウのモッチリしたパンを作った。コレが東海岸からやって来たクラムチャウダーの容器にピッタリだったのだ。北米大陸東西の郷土料理の出会いは、料理の進化の過程のモデルと言えよう。

 この旅ではさまざまな経験をしたが、車中泊を覚悟した極度の緊張を温かいスープが解いてくれたとき、食べ物は体だけでなく、心の栄養にもなると感じた。今、熊本県で豪雨被害が発生している。被災された方が少しでも早く温かい食べ物に元気づけられるようにと、心から祈っている。

 ※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。

 
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