前号に続き、マカオにて。筆者の定宿「ホテルオークラマカオ」のある複合リゾート施設「ギャラクシー・マカオ」は、同ホテルの他「ザ・リッツカールトン」「バンヤンツリー」「ＪＷマリオット」「ギャラクシーホテル」「ブロードウェイ・マカオ」の六つが並ぶ。
屋内の陸橋でつながっている「ブロードウェイ・マカオ」の1階屋外に「ブロードウェイ・フード・ストリート」という飲食店街がある。上海で行列の小籠包専門店「南翔饅頭店」や台湾の担仔麺（タンツーメン）発祥の店「度小月」、日本のステーキチェーン店「ペッパーランチ」など各国の有名店の他、地元で人気の粥（かゆ）専門店なども軒を連ねる。全部で何と31軒！ その一つ、「添好運」（ティム・ホー・ワン）へ。
アレ？ 見たことのある名前だ、と思われる方も多いだろう。ニューヨークやワイキキ、シドニーといった都市の他、シンガポールやフィリピンなどの国では多店舗展開しており、昨年日本にも上陸。日比谷に行列を作り話題になった。
本家は香港でミシュラン一つ星に輝く点心専門店。「世界一安いミシュラン星付きレストラン」というキャッチコピーがウリ。
紙製のランチョンマットがメニューを兼ねており、渡された紙に希望個数を書いてオーダー。一番人気の「ベイクド・チャーシュー・パオ」はメニューの中でも「四大天王」のトップに君臨。ちなみに他の三つは、大根餅とマーライコウ（蒸しパンケーキ）、そして腸粉。腸粉とは米粉を蒸して筒状に巻いた物で、ツルんとした食感が特徴。中に具が入っていて、叉焼（チャーシュー）、ニラとエビ、豚レバーの三種があった。日本のメニューを調べたら、豚レバーはなく牛ひき肉になっている。
さて、日本でも「メロンパンの中に叉焼餡（あん）が入っている」などとネットに書き込まれている「ベイクド・チャーシュー・パオ」。そのお味はというと、何たって甘い！ そもそもメロンパンとは、メロンのように網状に模様が入ったビスケット生地で包まれたパンだが、確かにパオはそれに近い。外側はサクサク、中からトロリとした叉焼餡が出てくるのだが、コレまた甘いのだ。だが、左党の筆者でも、ナゼかクセになりそうな味である。
ハスの葉ちまきも味付けは甘めだったが、豚や鶏肉など具だくさんで満足度が高い。エビ餃子と焼売（シューマイ）は、サスガの安定感。筆者のイチオシはエビの湯葉春巻。外はサックサクでエビがプリップリ。スペアリブの豆鼓（とうち）蒸しも、お肉がホロッと崩れるほど軟らかい。咸水角（ハムスイコー）（揚げ餅餃子）は、香港やマカオでは人気メニューだが、日本にはないらしい。お国によって若干違うのだ。ここのマンゴーサゴー、甘党の同行者が最近食した中で一番美味だと言っていた。南国によくあるタイプのザボン入りだ。
全体的に味が良い。やっぱりミシュランの星を取るだけあって、口福の味だった。惜しいことに、「四大天王」の一つ大根餅を食べ忘れたと後から気付いた。また行かなくちゃ！
※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。
