【竹内美樹の口福のおすそわけ 250】三重の恵みの鉄板焼 その1 宿泊料飲施設ジャーナリスト 竹内美樹


桑名の蛤焼きと伊勢真鯛の炙り うマイヤーぽん酢

 国内外のニッコー・ホテルズ・インターナショナルの旗艦ホテル、「グランドニッコー東京台場」。11のレストラン、バーのうち4店舗で、現在、三重県産の美味食材を提供する「三重フェア」を開催している。

 先日「鉄板焼浜木綿」で、「三重・伊勢ディナーコース」をいただく機会を得た。塚田忠保代表取締役社長総支配人、多田章恭執行役員営業部長とご一緒させていただいたお席は、この春のリニューアルオープンで登場したプライベートダイニング「Chef’s Table」。

 この個室は対面式のレイアウトで、テーブル横に鉄板が設えられているので、お祝い事やビジネスのお席にもピッタリ。お台場の観覧車やゲートブリッジを望む地上100メートルからの絶景を楽しみながら、目の前でシェフが調理して下さるなんて、超ぜいたく!

 まず、すてきなアミューズに続いて登場したのは「熊野地鶏檜(ひのき)と柑橘(かんきつ)の薫(かお)り」。三重県を代表する県産品「三重ブランド」に認定されている熊野地鶏は、三重県原産のシャモ「八木戸」と同県の銘柄鶏「伊勢赤どり」に「名古屋コーチン」を掛け合わせた地鶏。三重県畜産研究所が10年の歳月をかけて開発し、世界遺産熊野古道近くの大自然の中で育てられている。

 その胸肉とクルミ、熊野古道の花々から採集された蜂蜜をモモ肉で包んで切り分けたものを鉄板で焼く。香りづけには熊野の森の檜から作られた経木と、新姫(にいひめ)という柑橘。新姫は、熊野市新鹿町で偶然発見され、平成9年に品種登録された新しい柑橘で、橘と温州ミカンが自然交配したもの。希少な上、収穫時期も短い幻の味は、鶏肉の風味をガラリと変えるほどしっかりしていた。

 次は「桑名の蛤(はまぐり)焼きと伊勢真鯛(だい)の炙り うマイヤーぽん酢」。蛤には内湾性の「ハマグリ」と外洋性の「チョウセンハマグリ」、外来種の「シナハマグリ」などがある。その手は食わない、という意味で「その手は桑名の焼き蛤」と使われるほど、江戸時代から有名な三重県桑名の蛤は内湾性。湾内の環境悪化で、一時は絶滅危惧種に指定された。そこで、桑名市の赤須賀漁業協同組合では漁獲数量制限を導入、種苗生産、稚貝放流活動や環境保全活動などに取り組み、近年漁獲量が回復している。その活動が評価され、昨年三重ブランドに認定された。

 伊勢真鯛は、三重県特産の海藻、柑橘類、茶葉の粉末をブレンドした、ポリフェノール類の多い餌で育てたブランド鯛だ。皮目をサッと炙った物が、焼き蛤と共に皿に盛られ、泡状のソースが添えられている。コレがお献立の、謎の「うマイヤーぽん酢」である。

 川上健朗シェフのご説明によると、マイヤーレモンの果汁と、ウナギの骨が入ったポン酢だそう。オレンジとレモンの自然交雑種で、輸入物が多いマイヤーレモン、希少な国内産の約9割が三重県産だという。

 予想をはるかに超える美味食材の宝庫三重県、恐るべし! 他に何が登場するか、次号をお楽しみに♪

 ※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。


「熊野地鶏 檜と柑橘の薫り」(焼く前)


「熊野地鶏 檜と柑橘の薫り」(焼いた後)


「桑名の蛤焼きと伊勢真鯛の炙り うマイヤーぽん酢」

 
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