【私の視点 観光羅針盤 307】宿を地域文化のショーケースに 吉田博詞

  • 2021年10月18日

昨今、話題性のある旅館、宿の共通項が、地域文化のショーケースとしてのプレゼンスを高めているという特徴がある。各地のNIPPONIAや里山十帖、龍言等の宿泊単価の高い宿は、このご時世でも高い稼働を維持できているようである。

これらの共通項は、一定の質を求める方々の需要において、しっかりとした満足感を得ていることが改めて理解できる。上質な空間であることやホスピタリティ等は言うまでもない。

また、そこにオリジナルな地域文化のショーケースとしての機能がより強固な形で織り込まれることで、満足度のさらなる向上や地域文化全体へのトータルなファンとなっている。

結果的に、特別な誰かにストーリーと併せてお土産を渡すことで喜びの連鎖を生むこと、食の虜(とりこ)になることでお取り寄せをしたり、日常の中に地域の工芸や素材・文化風習を取り入れることで、気づいたら地域のことを思い出し、また行きたくなるという需要を生み出すことにつながっている。

こうした宿で提供されている細部のこだわりポイントの特徴をいくつか整理してみたい。

(1)チェックイン=ウェルカムドリンクや部屋の茶菓子で少し気の利いた、今イチオシの要素を活用して、少し紹介する。

(2)食事=食事における地域食材の活用はもちろんのこと、器や箸やカトラリーで郷土のものを加える。食材にそれぞれの農家さんの名前や郷土の歳時記を織り交ぜる。

(3)水=風呂上り等の水において、くみ取りの水や、一スパイスとして地域のかんきつ等を入れる演出を加える。

(4)土産=地域の少し気の利いたアイテムを、日常の中に地域要素を取り込むライフスタイルの提案として、数でなく質で紹介する。

(5)調度品=床の間や各種ポイントに伝統工芸やオリジナルな風土要素を入れ込み、生活風習を感じてもらう仕掛けを入れる。

等々、各シチュエーションにおいて、少しのスパイスを入れ込むだけで共感・満足度が上がることは間違いない。

世界的な高級ホテル、ザ・リッツ・カールトンにおいても、どこに行っても同じ水準を提供する路線から、昨今は細部にローカル文化をちりばめた、演出を加える路線に転換していることが満足度向上につながっているという。

昨年オープンしたザ・リッツ・カールトン日光においては、男体山を模したオブジェ、伝統の日光彫職人と共同制作でオリジナルに創作した壁アート、中禅寺湖の釣り文化をルアーで表現したアート等々、地域文化を空間にも織り込み、その背景をたどれる仕掛けがちりばめられている。

今後の宿運営において、地域文化のショーケースとしての要素が加味されていくと、必ずやリピーター・単価アップにつながっていく。旅行に癒やしを求める時代において、特別な滞在の演出が増えていくことを期待したい。

(地域ブランディング研究所代表取締役)

 
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