【私の視点 観光羅針盤 213】NZの星空観測ツアーに学ぶ 地域ブランディング研究所代表取締役 吉田博詞

  • 2019年10月21日

 ラグビーワールドカップ(W杯)では日本が快進撃を続け、決勝トーナメントで日本が対戦する可能性があるニュージーランド(NZ)への興味も高まっていることだろう。

 以前、NZ北島におけるタビナカ観光の在り方をお伝えしたが、今回は南島での星空観測ツアーの仕掛けから学べるポイントを整理してみたい。

 南島はより雄大な自然が豊富で人気の場所である。テカポ湖は世界一星空が美しいといわれているが、より南の都市のクイーンズタウンでも星空観測が有名で、以前参加した、日本人ガイドが案内する日本人向けツアーが非常に魅力的であった。

 南半球の星空と聞いて皆さんは何を思い浮かべるだろうか。南十字星、さそり座といった星座名がきっと出てくるだろう。このガイドツアーでは、その一番知りたいものを最初に教えてくれる。導入から一定の感動を提供してくれるのだ。その後、星座の説明に入っていくのだが、この見渡せる星空のうち、どこまでが北半球・日本でも見られるもので、どこからがここでしか見られないものなのか、ポイントを教えてくれる。

 この説明により、ここまで見に来てよかったという気持ちを高めてくれる。先述の二つの星座だけでなく、ミルキーウェイこと天の川も南半球の方がたくさんの星が見られると聞くと、参加者の満足度はより高まっていく。

 また、参加者属性に合わせた紹介も魅力的だ。新婚旅行のカップルがいることを確認すると、夫婦星と呼ばれる星を探し、望遠鏡で見せながら、「この星のように仲良く暮らしてほしい」と伝えて、周りの人たちをほっこりさせていた。日本人同士であるがゆえに、日本の時事問題も絡めることで、笑いを誘っていたことも興味深いものであった。

 ガイドが、どうすればここに来てくれたことを一生の思い出にしてくれるかを日々考えて、ブラッシュアップし続けたことにより、ここまでのクオリティになっているのだろう。細かなところでは、寒い人用に防寒着を貸し出し、休憩ではNZのハチミツ入りの温かい茶の提供があり、寒い体を癒やしてくれ、ちょっとした気遣いも最高であった。

 そして、極めつけは後日送ってくれた写真である。南十字星、さそり座、ミルキーウェイはもちろん、参加者の顔がしっかり識別できる最高の写真であった。併せて、途中で説明してくれた他の星座名が記載されたバージョンもあり、あとからうんちくを振り返れるものになっていた。私が、その写真をすぐにフェイスブックでシェアしたことはいうまでもない。

 参加者の喜びを追求していくと、画質の高いカメラや望遠鏡といった設備や、そもそものうんちく、参加者の属性や当日の天候に合わせた臨機応変なガイディングや気遣い、後日の最高のお土産と磨き上げられていくのだろう。その場所でしかできない、その瞬間でしかできない思い出とは何かを常に考え、磨き上げを続けることで初めて指名される、わざわざ人がやって来る自然体験となるに違いない。

(地域ブランディング研究所代表取締役)

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