【私の視点 観光羅針盤80】来道外国人観光客500万人 石森秀三


 北海道庁は来道外国人観光客数を「2020年に年間500万人」にする目標を明確にし、数値目標達成に向けた指針となる「北海道インバウンド加速化プロジェクト」案をこのほどまとめた。

 道庁は今年9月に「2020年の来道インバウンド300万人」という数値目標を公表したばかりであるが、15年度の来道インバウンドが208万人となり、好調が継続されているために500万人に上方修正を行い、戦略を明確にしたわけだ。

 政府は「2020年インバウンド4千万人」を数値目標として掲げており、それを確実に達成するためにインバウンド重点地域の一つとしての北海道が「もっと頑張るべき」という、大きな期待が背景にあるようだ。

 北海道インバウンド加速化プロジェクト案では、来道者数や経済成長などにもとづいて、各国を「成熟市場」「成長市場」「欧米市場」に分類し、市場ごとの数値目標を設定している。

 「成熟市場」は台湾、韓国、シンガポールなどで、これらの国々はすでに来道外国人観光客数が全体の約半数を占めており、20年度までの目標数値は240万人に設定されている。「成長市場」はタイ、中国、ベトナムなどの来道者が急増している国々で、数値目標は220万人。「欧米市場」は米国、英国、ロシアなどの国々で、数値目標は27万人。

 さらに、「成熟市場」についてはこれまで旅行先が道央圏に偏りがちであるために道東や道北、道南への誘導が必要、「成長市場」の場合には相手国の需要に合わせた団体ツアーの企画運営が必要、「欧米市場」については北海道の認知度向上に努めるとともに長期滞在に対応した観光商品の開発が必要――などと市場ごとの戦略が明確にされている。

 その上で目標達成に向けて、多言語対応できる人材育成、国際会議や学会などの大規模イベント誘致、リピーターの確保などが必要とされている。

 4年のうちに来道インバウンドを208万人から500万人へと激増させるためには観光システムの装置系と制度系の各要素をいかに有効に機能させていくかがポイントになる。

 装置系ではホテル増や観光バス増が不可欠であり、制度系では道内複数空港民営化の実現、新規路線開設、各地でのDMO設置、各種サービス制度の充実化などが不可欠。さらにデスティネーション・マネジャーをはじめ、観光分野の人材育成・人材確保が一番重要な課題になる。

 (北海道大学観光学高等研究センター特別招聘教授)

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