【直販を増やす】デジタルマーケティングトレンド28 コレリィアンドアトラクト代表取締役 松本慶大


 世界中がコロナ禍により、これまでの当たり前が激変し、何が正解か分からない状況の中で、今後どうビジネスを展開していくべきか? 試行錯誤の繰り返しだ。停滞する人、現状維持、様子を見ながら前進する、新たな取り組みをチャレンジするなど、さまざまだと思う。

 宿泊業にとって当たり前のこと、それは「お客さまが泊まりに来てくれること」。コロナにより、これが当たり前でなくなった。今後、お客さまが泊まりに来なくても、ビジネスとして成り立たせることはできるのか? という視点で考えたときに、良いアイデアは簡単には出ないし、とても難解だと思う。ただ、新しいサービスや仕組みは、有事のときや従来の商習慣、ビジネスモデルの根底が覆るときに生まれることが多いと思う。

 2011年3月11日の東日本震災後、6月の日本経済新聞の記事で紹介されていた「転機のホテル」という特集で、固定客づくりは子どものうちから、ヒルトン東京が東京では珍しい子ども専用の会員クラブ「リトルヒルトン」を立ち上げたという記事を改めて読み返した。現在も継続している取り組みだ。

 震災後、多くのホテルで最初に客足が戻ったのは、ファン客(リピーター)、身軽なレジャーやビジネス利用の国内個人客だったが、3.11とコロナの状況は違い過ぎる。しかしながら、有事=転換期と考え、従来のビジネモデルを見直し、失敗しても良いから新たな一歩を踏み出してみる。日本電産の永守会長がおっしゃっていた「コロナは10年に1度の大掃除のチャンス」という言葉が響いた。

 最近、私はコロナ禍でも、どうしたら楽しく仕事ができるか? どんなことをしたらハッピーな気持ちになれるか? ということをあれやこれやと考え、千本ノックしている。

 例えば、ブッフェ再開↓ホテルのブッフェを家庭の食卓にデリバリー。月1回週末の「ご家庭でプチブッフェ体験」。新たなだんらんのひと時を提供する▽七五三→七五三特別メニューをデリバリー。衣装をレンタル、自宅で着付け(動画で紹介)、PCR検査受診済みのカメラマンを派遣し家族写真。家庭でも楽しめる七五三のお祝い▽オンラインサロン↓リアルで提供しているサービスを全てオンラインで提供する。ソムリエが教える家庭で楽しめるテーブルワインの紹介、料理長が教える子ども料理教室、男の料理教室、パティシエが教えるお菓子作り教室(ハロウィン飾り)▽託児付きワーケーション→近隣の保育園と連携し、子どもを預けて業務に集中できる環境を提供する。もしくは子どもに就労体験をさせる(リアルのキッザニア)。子育て世代の働き方を宿が支援する。

 東京都民は、9月末まではGo Toトラベルキャンペーンの対象外で、恩恵を受けることができないが、キャンペーンは一時的なものだから、期間中に既存顧客(ファン)の見直しとキャンペーン終了後、リアル以外でお客さまとコミュニケーションをとることができて、お客さまが来なくても売り上げを上げる仕組みが備わっていることが理想な姿ではないだろうか?

 (コレリィアンドアトラクト代表取締役) 

 
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