【焦点課題】Tokyo Creative事業開発部部長 中川智博氏に聞く

  • 2019年3月20日

中川智博氏

地方創生事業の取り組み

ユーチューブで生声獲得 国により発信手法変える

 ――地方創生事業に取り組む背景は。

 「代表が元々在日のユーチューバー。47都道府県を巡るプロジェクトを行った際に得た海外からの反響から、まだまだ日本のコンテンツが海外に知られていないことを知った。日本に関する情報発信は、日本人目線のものが多く、外国人に受け入れられているものが少ない。自治体、企業も外国人の集客にも悩んでいることが分かり、TokyoCreativeという外国籍7割以上の多国籍チームで、情報発信を行うサービスを約1年半前に立ち上げた」

 ――現在の取り組みは。

 「『知られざる日本を伝える』がテーマ。主にデジタルマーケティングによる訪日外国人の集客に取り組んでいる。強みはインフルエンサー。在日のユーチューバーと独占契約し、彼らの影響力を使い、動画で地域や商品、サービスを世界に向けて発信し効率的な集客を行っている年間100本以上の案件を、取材から編集、納品まで対応している。動画は、ユーチューバーらのチャンネルで公開されるほか、月間300万ページビュー(PV)がある当社運営の『Tokyo Creative』を冠したサイトなどで掲載している。地域との事業ではユーチューブやSNSへの動画など情報発信のほか、外国語対応の観光情報発信サイトの作成や、同サイト上のルート作成、観光地などに設置したQRコードから分析するトラッキング解析など、さまざまな角度から観光地プロモーションのお手伝いをしている」

 ――ユーチューブ(動画)の強みは。

 「15分尺程度で配信することが多く、圧倒的に情報量が多い。制作した動画の約半数はPCから閲覧されており、視聴者はかじりついて見ている。熱量の高い視聴者からはコメントが多く取れる他、ユーチューブの動画は半永続的に残るため、SEO対策にもつながり視聴回数は伸び続ける傾向がある。ユーチューブのコメントをひも解くと自治体の方が当初人気だ、と思った観光コンテンツよりも別の観光コンテンツの方が外国人視聴者からは人気だったという場合は多々ある。視聴者のコメントなど生の声を生かし、次のアクションへとつなげるべきだ」

 ――組織の目標は。

 「世界の人に日本全国の良いところを知ってもらうことだ。地域にはたくさん良いところがあり、外国人目線でブラッシュアップすれば、光る観光コンテンツはたくさんある。自治体の方は地域に何もないと諦める必要はない。自然や生活様式など、地域の人が気付いていない魅力はたくさんある。地域や企業の人たちと共に観光コンテンツを外国人目線で開発、発信し、来てもらえるきっかけを多く作っていくことが目標だ」

 ――観光業界、地域の問題点は。

 「情報発信における課題は三つある。一つ目は観光の情報発信に関するプロが足りていないこと。自治体は3年で人事異動があるため専門的なノウハウがたまりにくい。継続してノウハウを継承していく専門人材が必要だ。二つ目は外国人目線での発信ができていないこと。地方ではわれわれのように外国人目線で情報発信をしていくソリューションを持つ企業はほぼいない。日本語の記事を翻訳し掲載するだけでは顧客である外国人の視点とならず伝わらない。三つ目は予算の使い方。「情報発信事業」としてパンフレット制作、サイト制作する文化からの脱却が必要だ。体感値だが、入札案件でも約8割がパンフレット、サイト制作。地域の存在さえ知らない人、検索する発想にない人たちに検索しなくても知るきっかけを作らなければならない。よくインフルエンサーは『来ておしまい』といわれるがそれは違う。施策実施後に、再生回数以外にコメントを分析することで次に強化すべきアクションが見えてくる。顧客である外国人の反応を知ることで、今後が大きく変わるはずだ」

 ――外国人に向けて情報をどう発信すればよいか。

 「国によっても発信手法は変わる。英語圏は特にストーリーが大事。思考には必ず『WHY』があり、そこにストーリー、特有の歴史がひも付くと視聴者は納得して、広めたいと思う傾向がある。繁体字圏だと『食』が響くケースが多い。寺社仏閣は『自国にもあるもの』と捉えられる。一方、日本でしか味わえない新鮮な海の幸などへの興味関心は高い。ターゲットによってコミュニケーションも変えていくことが重要となる」

 ――今後の取り組みは。

 「プロモーション領域から、これまでのノウハウを生かした事業領域に入る。体感値だが、そもそも魅力的なコンテンツがない地域は約3割ある。今後は、外国人目線を生かしたプロダクト開発や販売も手掛けていく。インフルエンサー監修のツアーやWi―Fiサービスなど、きっかけ作りから来てもらうところまで一気通貫して行い、地域に外国人を包括的に受け入れる仕組みを作り上げていく」

 ※なかがわ・ともひろ=滋賀県出身。同志社大卒後、電通アイソバーを経て、Tokyo Creative入社。2018年5月から現職。

【長木利通】

 

 

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