台中市政府観光旅遊局 副局長 蔡宗昇氏
台湾の台中市の観光事業者ら39人の代表団が、日本の旅行会社へのプロモーション活動と富士河口湖町との観光協力・連携で来日。5月13日、品川プリンスホテルで「2026台中観光プロモーション交流会」を開いた。同交流会では、台中市民宿協会(陸冠全理事長)と河口湖観光協会(外川凱昭会長)が、観光市場情報の交換、相互PR、宿泊・観光サービス分野での交流協力を進めることを目的に覚書(M.O.U)を交わした。同代表団を率いて来日した台中市政府観光旅遊局の蔡宗昇副局長に話を聞いた。
――今回の訪問団のメンバー構成と訪問目的を教えてください。
今回は台中市の観光事業者を中心に20数名で来日しました。目的は明確です。2026年3月末、台中と東京(成田)を結ぶ直行便が就航しました。この新航線の開通を好機と捉え、日本のメディアや旅行会社の皆さまと直接顔を合わせ、台中の魅力や観光資源、旅行環境をお伝えすることが今回の最大の目的です。
日本は台中にとって最も重要な相互観光交流市場です。今回の交流会も、そうした関係をさらに深めるために開いたものです。
また、今回の来日では、台中市民宿協会と河口湖観光協会が観光協力に関する覚書を締結しました。相互のPRや宿泊・観光サービス分野での連携を進めていく予定です。
――毎年、何人くらいの日本人観光客が台中を訪れているのでしょうか。
2025年の数字で申し上げると、台湾全体への日本人訪問者数は約148万人でした。そのうち、台中に宿泊した方は統計上、約18万人となっています。
台中は台湾第二の都市です。しかし、日本人観光客の宿泊割合は全体の約8分の1にとどまっています。これは正直に申し上げて、少ない数字です。第二の都市でありながら、8分の1しか来ていただけていない。私たちにはまだ大きな成長の余地があると認識しています。
宿泊を伴わず、台北から新幹線で日帰り往復するだけの旅行者も相当数います。そうした方々にも、ぜひ台中に泊まっていただきたい。今回の「2026台中観光プロモーション交流会」はその思いからも開催しています。
なお、大阪発の団体旅行については、台湾・台北へ向かう客の約50%が台中にも立ち寄るというデータも聞いてでいます。
――逆に、台中の方々が日本を訪れる数はどのくらいでしょうか。
台湾全体では、2025年に日本を訪れた人数は約670万人にのぼります。ただ、そのうち台中から出発した人数の正確な数字は、現在のところ把握していません。
ただ、一つ申し上げられることがあります。台中発・東京行きの便は180席で、そのほぼ90%以上が台中や中部地域の住民です。つまり、台中空港を利用して日本へ向かう方の大多数が、台中・中部エリアの生活者であるということです。
――東京・台中間の直行便をはじめ、台中と日本各地を結ぶ航空便の現状について教えてください。チャーター便の状況はいかがですか。
2026年現在、台中(RMQ)と日本各地を結ぶ定期便は次の通りです。
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東京(成田)線:スターラックス航空 週8便(4~5月)・週4便(6月以降)
- 沖縄線:スターラックス航空 週14便、タイガーエア台湾 週2便、中華航空(2026年7月21日就航予定・週7便)
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熊本線:スターラックス航空 週5便
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宮古島線:スターラックス航空 週4便
チャーター便については、現在は需要の動向を見極めながら開発を進めている段階です。チャーター便は、観光客のニーズがあってはじめて成立するものです。例えば鳥取や四国など、特定地域との需要が見込まれる場合に、航空会社と旅行会社が協力してコストや収益性を精査した上で開発していきます。
政府としての立場は、航空会社と旅行会社、双方をつなぎ、できるだけ多くのチャーター便路線が生まれるよう支援していくことです。
――今、日本人観光客におすすめの台中観光の目玉スポットを教えてください。
今年、日本の皆さんに特に推薦したいナンバーワンのスポットは、高美湿地(ガオメイ)です。
高美湿地は「人生に一度は行くべき場所」と言えます。干潟の木道を歩きながら、水面に映る夕日を眺める体験は、日本ではなかなか味わえないものです。カップルや夫婦、家族連れにも最適な、ロマンチックで優雅な散歩コースです。写真映えするスポットとしても非常に人気があります。
昨日も日本旅行業協会(JATA)の皆さんとお会いしましたが、日本の旅行者の間で高美湿地への関心が非常に高いことを改めて感じました。
高美湿地から車で約10分の距離には台中海洋館があります。2025年8月にグランドオープンした、台中初の大型水族展示施設です。ペンギンやクラゲの展示など、見どころが多く、ファミリー層にも好評です。
さらに今年10月には、高美湿地の近くに大安媽祖文化園地がオープン予定です。台湾本島で最大規模の媽祖像を擁する、宗教観光と文化体験の新スポットとなります。
海洋館の近くには烏日漁港(湖西漁港)もあります。海鮮料理が楽しめる漁港で、午前中に漁港でシーフードを楽しみ、午後は海洋館を見学、夕方は高美湿地で夕日を鑑賞する——そのような日帰りバスツアーのモデルコースも提案できます。さらに台中に宿泊して翌日は日月潭や夜市を楽しむ、2日間の旅程も十分に楽しんでいただけます。
――台中への日本人観光客は団体客が多いと聞きますが、今後どのような客層の誘致に力を入れていきたいとお考えですか。
現在、台中を訪れる日本人観光客の約8〜9割は団体客です。これはひとつの現実です。団体旅行は旅行会社が主導するものですから、旅行会社との連携を引き続き強化していきます。
一方で、私たちが強く力を入れていきたいのは、個人旅行者(FIT)の誘致です。直行便が増加している今こそ、個人旅行者を増やす絶好の機会だと考えています。
個人旅行者にとって、空港から市内へのアクセスのしやすさは非常に重要です。台中空港から市内中心部までは、台湾好行の快速バスやMRTを利用して約30分でアクセスできます。途中6駅に停車し、朝5時から夜11時まで運行しています。LCCで早朝や深夜に到着しても対応できる体制です。
高美湿地へのアクセスについても整備を進めています。現在、台湾好行バス(679路線)が運行しており、今年8月から9月にかけて大型バスから小型のハイエースタイプの車両に切り替える予定です。これにより、湿地の入口に近い木山道付近での乗降が可能になり、観光客の利便性が大きく向上します。
また、台湾全土の交通情報を多言語対応で提供するアプリも活用いただけます。日本語、英語、インドネシア語、ベトナム語、タイ語に対応しており、バスや電車の時刻をリアルタイムで確認できます。
――台中に新しいMICE施設もできたと伺いました。国際会展中心についても教えてください。
台中国際会展中心は、台中市の最新の注目インフラです。施設は会議棟と展覧棟の2つに分かれています。
会議棟は国際会議に対応しており、医療関連や半導体産業など、さまざまな国際的な会議・学術イベントの誘致を進めています。展覧棟は、電子展、自動車展、旅行展、工具機展など、国内外の展示会に活用されています。台湾の工具機展は国際的な知名度を持つ見本市です。最近は旅行博や台湾茶・酒の展示会なども開催されました。
インフラとしては2025年末に試験運用を開始し、2026年3月から正式稼働しています。詳細情報は台中国際会展中心の公式ウェブサイトで公開されています。
――台湾にも温泉がありますが、局長ご自身は日本の温泉地に行かれたことはありますか。
あります。最も印象に残っているのは、新婚旅行で訪れた河口湖温泉(富士河口湖温泉郷)です。25〜26年前のことで、細かい旅館名は記憶が薄れてしまいましたが、湖越しに富士山を眺めながら温泉に入った体験は、今でも鮮明に覚えています。本当に素晴らしかった。
台湾にも全国に20数か所の温泉地があります。台中からも谷関温泉など、近郊に温泉地があります。今回の覚書締結も、富士河口湖という温泉地との観光連携を深める意味で、とても意義深いものだと感じています。
――最後に、日本料理でお好きなものはありますか。
和牛の焼肉が大好きです。昨日も和牛をいただきましたが、本当においしかった。それに日本酒も好きで、昨日は6種類の日本酒を楽しみました。和牛と日本酒の組み合わせは最高ですね。
日本の食文化は台湾人にとっても非常に親しみ深いものです。台中と日本の交流が、観光だけでなく食や文化の面でも、より豊かになっていくことを願っています。

台中市政府観光旅遊局 副局長 蔡宗昇氏
【kankokeizai.com 編集長 江口英一】




