【焦点課題】東武トップツアーズ 代表取締役社長 百木田康二氏に聞く

  • 2021年10月27日

百木田社長

旅行会社の新たな姿

社員一丸で各地域、組織に貢献 強みを生かし「確かな価値」を提供

 ――7月に就任した代表取締役としての抱負を。

 「コロナ禍で旅行業のビジネスモデルが大きく変容する中、安定した運営ができる事業構造の構築が最大の使命だ。坂巻(伸昭)前社長の『人が財産』『地域を一緒に元気にしていく』の考えを引き継ぎ、当社に関わる全ての人に感謝し、貢献していきたい。併せて、社員全員が自己実現できる場を提供したい」

 「観光業は日本の基幹産業。前社長と同様、業界発展に向け深く関わっていきたい」

 ――旅行業の今、未来は。

 「厳しいが、ワクチン接種の普及が一つの契機となる。検査パッケージの実証実験も始まり、社会の行動規制が緩和し始めた。水際対策も緩和されれば、本格的に旅行需要が喚起される。『旅行に行きたい』欲求は膨らみ、Go To事業、自治体の域内割などの誘客要因が相互的に作用し、国内はある程度戻ると見ている。一方、海外旅行は当面厳しいが、回復に向けた今後の施策が重要となる」

 「旅行業の『代理業』的な部分は終焉(しゅうえん)を迎えつつある。その中でも、お客さまが求める『価値』に対し、『本物』をタイムリーに提供することで自信を持って対価を収受できると考える」

 ――今年4月に東武沿線事業推進部、D2C事業推進部を設けた。

 「東武グループのアセット(資産)を最大限活用したい、と考え東武沿線事業推進部を新設した。カウンター支店、法人営業を担う支店、事業を受託するビジネスサポート、インバウンド対応のコンシェルジュ機能を一つに集約した。『地域の拠点でありたい』が事業部内での共通認識。各カウンター店舗は従来までの対面営業に加え、自治体と結びつきながら地域の拠点となることを目指す」

 「D2C事業推進部は、オンラインやSNSを通じて消費者に直接アプローチすべく新設した。現在の日常ツールの主役はスマホだ。JR商品をウェブ化した当社の『スゴ得』はこの現状を意識した一例。ここで得たデジタルツールや技術を法人営業でも生かしたい」

 「割引特典を備え、定額で複数の施設に使用でき、予約機能なども持たせた当社の『トクトククーポン』のような、旅行者と地域をつなぐプラットフォームづくりにも注力したい」

 ――コロナ禍で描く事業戦略は。

 「お客さまへの『価値』の提供が第一。当社は、ホスピタリティや運行、運営力の強みを生かし、各地域や組織の悩み、課題に照らし合わせて解決に持っていく提案ができる。これまでも各地域の誘客多角化事業への協力、ワクチン接種事業の運営、コロナ軽症者療養支援対応業務など、当社ができる社会貢献を社内で共有した。山梨県の『やまなしグリーン・ゾーン認証』は当社が山梨県と築いた最初のモデルで、地域に根差した貢献ができたと思っている。ソリューション型事業は今後大きな軸になり得る。地域が抱えている問題や課題を解決し、その地域が持つ魅力を磨き上げ、経済的に継続して裨益(ひえき)する仕組みを土台から作る『地域のベストパートナー』を目指す」

 「第二に、47都道府県に支店を持つ強みを生かし、省庁や自治体と連動できる組織でありたい。『非旅行領域』的な事業にも注力する。ふるさと納税に関する企業と自治体とのマッチング事業もその一環だ」

 「第三に、東武グループの経営ビジョンの一つ『三世代のファミリーがつながって、日本一幸せな暮らしを実感できる沿線』実現に寄与したい。東武沿線にある観光資源の魅力の掘り起こしなどを通じ、親、子、孫の各世代に『そこに住む』メリットを、総合旅行会社の強みを生かし提供したい」

 「第四に、デジタルを活用し、さらなる社会貢献、サービス向上を図りたい。全営業担当者に貸与しているスマホとモバイルPCを活用した部門間での意思疎通強化に加え、営業ツールとしてデジタルを駆使できることが重要」

 ――コロナ禍における商品の造成方針は。

 「社会的距離を前提とした商品が基本となる。各施設の混雑状況がスマホで即時に分かる機能などもスタンダードになるだろう。家族などの小グループ需要が好調な印象だ。ワーケーションプランやワクチン接種者向けの特典付き商品の造成も比較的盛んだ。年末年始に向け、感染対策を施した新しい会食スタイルでの商品をどう提供できるかを検討している」

 ――施設との関わりは。

 「宿泊施設、土産物店などのパートナーは、当社にとってなくてはならない存在。旅行需要の回復局面に際し、連盟としてどう準備し、連携していくかの情報交換は頻繁に行っている。非旅行業的な部分でのソフト、ハード両面での協力も含め、今後も強力なバックアップをお願いしたい」

 ――今後に向けて。

 「生産性の低さが課題。旅行業界的に、売上高に占める営業利益率は1%未満と捉えている。先に述べた『事業構造改革』『きちんとした(付加)価値を提供し対価を堂々ともらえる仕組みづくり』を、当社を含め業界全体の生産性向上に生かしたい」

 「コロナ禍で苦しいが学びも得た。新規事業展開も含め、旅行会社が活躍できる部分はまだまだある」

からきた・やすし=明治大学商学部卒。1987年東急観光入社。2014年トップツアー取締役。20年東武トップツアーズ取締役常務執行役員営業統括本部長に就任。今年7月28日から現職。

【聞き手・内田誉紀】

 
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