【焦点課題】ジョルダン 代表取締役社長 佐藤俊和氏に聞く

  • 2021年7月1日

佐藤社長

ジョルダンが描く交通サービス戦略

乗換案内に加え、MaaSに力 スマホ1台で移動をスムーズに

 

 ――主な事業について伺いたい。

 「もともとはプログラム開発やハードウェアに関するプログラムの制作などを行っていた。現在は、スマートフォン(スマホ)のアプリなどで月間検索件数2億3千万回に達する経路検索『乗換案内』という主力製品を軸に事業を展開し、収入源として有料会員収入、広告収入がある。また、自治体や公共交通事業者に乗換案内の機能を提供する法人営業、二次元コードの販売代理店も柱の一つとして成長しており、会社全体における割合は拡大している」

 ――コロナ禍の中、足元の動向は。

 「コロナの感染拡大の影響で観光業界が苦しんでいるが、われわれもトラベル、グルメ部門を持っており、両方とも大きく落ち込んだ。乗換案内は広告収入が減ったが、法人部門が伸びていることから全体では横ばいとなっている。トラベル部門は今後、周遊チケットの開発や、大手が持つパーツを提供してもらうなど、簡単、自由にパッケージをプランニングできるプラットフォームの構築を進めていく」

 「観光分野では、コロナ禍の今だからこそ受け入れ環境整備を行いたいという自治体は多く、地域の移動手段を使ってもらいながら観光客を呼びたいという声がある。当社は、町中でバスのダイヤを知らせる手段を提供するなど、対応地域を増やしている」

 ――18年7月には子会社「J MaaS」を設立するなど、MaaS事業に力を入れているが、成果について。

 「J MaaSは、鉄道やバスなどのさまざまな交通機関を横断的に検索、予約可能なサービスの提供を通じ、日本における主要な『MaaSサプライヤー』となることを目指して設立した。交通事業者やサービス事業者と連携しながら実証実験にも力を入れている。われわれがMaaSに取り組んでいることがようやく広まってきた。乗換案内のサービス開始時は、移動に関する情報を簡単に拾えるようにしたい思いが強かった。今後は、ICTを使い日本の移動に伴う生活を変えていきたいと考えている」

 ――佐藤社長が思い描くMaaSとは。

 「MaaSは本来、移動の情報が全てオープンとなり、簡単につなげるというもの。日本の場合、交通事業者が自社のウェブ内でダイレクトマーケティング寄りとなっている。本当はその辺りが全てオープンなインターフェイスとなれば、情報を見ながらその場で予定を組み上げ、予約までできることになる。今は、自治体や交通事業者と連携し、スマホ一つで町中での移動や体験で使える1日券、モバイルチケットの販売などに注力している。多言語対応や、観光施設、食事を含めたチケットの造成、長距離移動との連携も強化していこうと考えている」

 ――交通サービスは事業として何%まで実現したか。

 「乗換案内は、マルチモーダルで移動手段を集め、電車、バスをはじめ、ライドシェア、タクシーなども入ってきている。しかし、まだ10%も達成したとはいえない。地方では高齢化が進み、車の運転ができなくなるなど、移動の問題が深刻になっている。米国ではタクシーサービス『ウーバー』の普及で移動が活発化している。中国では有人ドローンの量産を図るなど新たな人の移動の可能性も生まれている。われわれは、離島での住民の足として、相乗りタクシーのサービスを近く始めるなど、社会課題の解決をも見据えた交通サービスの提供を始めている。5G、ICT、インターネットを駆使し、自由に動ける環境、新しい生活スタイルをビジネスの中で提供、提案していきたい」

 ――4月1日からは、新たなまちづくりクラウドサービス「JorudanStyle3・1」の提供を始めたが。

 「2015年から『JorudanStyle』の提供をし始め、3・1では顔認証とポイントを活用し、乗り物への乗車や施設への入退出を実現し、接触での認証強化、キャッシュレス対応といった機能を追加するなど、よりシームレスな移動を可能にした。今後より深く展開していく」

 ――東京オリンピック・パラリンピックがあるが、どう捉えているか。

 「乗換案内は13カ国語に対応している。インバウンド再開時に向けてキャッシュレスの強化も必要となる。来訪者がスマホで自国の通貨で決済できるようになれば、日本の観光もよりワールドワイドとなるはずだ。また、移動、観光においてもシームレスに一気通貫になっていない。われわれのサイトから全て買えるようにしたい」

 ――中長期での目標について。

 「スマホ1台で日本の移動をスムーズにしたい。米国では大都市間の超高速輸送が実現に向けて動くなど、世界で移動は大きく変わろうとしている。さまざまな移動に関わりながら、日常で自由度が高いものを開発し、提供していきたい」

 

さとう・としかず=福島県出身。1976年東京大学工学系大学院卒業。79年にソフトウエア開発企業「ジョルダン情報サービス(現・ジョルダン)」を設立。2003年大証ヘラクレス(現ジャスダック)に上場。

【聞き手・長木利通】

 
新聞ご購読のお申し込み  ベストセレクション

 メルマガ申し込み

注目のコンテンツ

第35回「にっぽんの温泉100選」発表!(2021 年12月20日号発表)

  • 1位草津、2位下呂、3位別府八湯

2021年度「5つ星の宿」発表!(2021年12月20日号発表)

  • 最新の「人気温泉旅館ホテル250選」「5つ星の宿」は?

第35回「にっぽんの温泉100選・選んだ理由別ベスト100」(2022年1月1日号発表)

  • 「雰囲気」「見所・レジャー&体験」「泉質」「郷土料理・ご当地グルメ」の各カテゴリ別ランキング・ベスト100を発表!

2022年度「投票した理由別・旅館ホテル100選」(2022年1月17日号発表)

  • 「料理」「接客」「温泉・浴場」「施設」「雰囲気」のベスト100軒

観光経済新聞の人材紹介

  • 旅館・ホテルの人材不足のお悩み無料相談はこちら
Visit Us On FacebookVisit Us On TwitterVisit Us On YoutubeVisit Us On Instagram