【焦点】航空2社の新IIT運賃 編集部 板津昌義


 日本航空(JAL)と全日本空輸(ANA)の大手航空2社が2020年4月から、旅行会社に向けた「個人包括旅行運賃(新IIT運賃)」を新たに導入する予定だ。この新運賃のポイントは大きく(1)空席に連動して運賃額が変動する(2)発券期限が短い(予約日+2日以内)(3)早期に取消手数料が課される(JALは330日前、ANAが355日前)―の三つである。

 新IIT運賃の導入を受けて、日本旅行業協会(JATA)と全国旅行業協会(ANTA)は、各会員旅行会社に向けて新IIT運賃に対応した旅行業約款「国内募集型IIT約款」の説明会を11、12月に東京、大阪、沖縄で開催した。

 旅行会社各社は、販売の方法をどう変えていくのか。JTBは「商品のダイナミックプライシング化が加速し、価格固定型のパンフレットをベースにした商品から、随時ノンパンフ商品へシフト化を行う。販売手法もこれまで以上にお客さまからヒアリングを行いながら、ニーズに合った商品を提案していく」と話す。

 現行の個人向け国内線包括旅行割引運賃(IIT運賃)も2年間併存することもあり、旅行会社の多くは新IIT運賃への対応があまり進んでいないようだ。KNT―CTホールディングスは「まだ検討中」、日本旅行も「現時点で決定しているのは、Webで価格変動型の商品を展開する方向で進めているということだけ」とコメント。東武トップツアーズも「基幹システムの改修も含めたシステム開発が必要であり、現在、開発タイミングを社内調整中」とし、4月からの対応は難しいという。JTBは「新IITに対応したシステム開発を進めており、早い段階で運用開始を予定」と順調さをうかがわせる。

 大手旅行会社では、新IIT運賃について「お客さまにとっては、予約期間がより長期間可能となり、利便性が高まる」や「宿泊素材との組み合わせで商品販売がタイムリーになる」などとプラスの見方がある一方、とまどいも多い。「店頭販売やWeb販売は売り場もルールも大きく変わる。旅行会社にとってのメリットは見つけ難い」や「購入時期で価格が変動するため、安心という点で不安が残る」といった声が挙がる。

 受託販売会社への影響も大きく、「航空会社側の制度変更により、膨大なIT投資が必要となる」との指摘もある。

 旅行会社が販売のビジネスモデルをうまく変えることができるのか。今後の動きが注目される。 

 
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