【焦点】五輪とインバウンド 編集部 森田 淳


リピーターづくりの好機に

 7月24日から8月9日まで、待望の東京オリンピック(五輪)がいよいよ開かれる。冬季を含めた日本での五輪開催は1998年の長野以来22年ぶり。東京では64年以来56年ぶりになる。日本人にとどまらず、多くの外国人観戦客が東京と、その周辺を訪れることだろう。

 世界的イベントの集客力は、昨年のラグビーワールドカップ(W杯)でも実証済みだ。日本政府観光局(JNTO)の発表によると、W杯が開幕した昨年9月の訪日外客数(推計値)は前年同月比5.2%増の227万2900人。増加幅は決して大きくないが、これは日韓問題の影響で韓国からの訪日が同58.1%減と大きく減少したためで、W杯出場国からの訪日は軒並みアップした。

 細かく見ると、イングランド、スコットランド、ウェールズなどを合わせた英国が84.4%増、ロシアが39.0%増、フランスが31.6%増、豪州が24.4%増など。これらを合わせた欧米豪全体は数にして単月でおよそ7万7千人増えた。

 今年は政府が目標とする訪日外客数4千万人の達成がかかる年。五輪がその実現を目指すための重要なコンテンツであることは間違いない。しかし、開催期間はわずか17日間。その後のパラリンピックを合わせても30日間のみだ。五輪はあくまでもボーナスチャンス。目先の誘客よりも、観戦客に将来のリピーターになってもらうための取り組みに力を入れるべきだ。

 JNTOの最新の統計では、2019年1~10月の訪日外客数は前年同期比3.1%増の2691万4400人。11、12月の訪日を仮に1~10月と同じ伸びにした場合、年計でおよそ3215万人。前年の数字(3119万人)は上回るものの、今年の4千万人達成にはそこから24.4%増、人数ベースで785万人増と、かなり大きな伸びが必要だ。しかし過去の実績から決して不可能な数字ではない。

 一方、政府のもう一つの主要目標、20年の外客による旅行消費額8兆円は、極めて厳しい状況だ。4千万人が8兆円を消費した場合の1人当たり消費額は20万円。統計がある直近の18年の数字は15万2594万円(クルーズ客を除く統計)で、ここからおよそ5万円を上積みする必要がある。

 「コト消費」の志向に対応する魅力ある観光コンテンツ作り、キャッシュレス化など受け入れ環境の整備に加え、世界の富裕層や、長期滞在が見込める欧米などに向けてのさらなるアピールが必要だ。

 

 
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