海外旅行における大きなハードルの一つが長時間フライトだ。特に近年はウクライナ情勢の影響によって、ロシア上空のシベリアルートが利用できず、日本からヨーロッパへ向かう場合、直行便でも往路で14時間を超えることが珍しくなくなっている。機内で長時間過ごす負担は大きく、特にエコノミークラス利用者にとっては、旅の快適性を左右する大きな要素となっている。
そうした中、私自身は4月にアメリカ・シアトル、5月にカナダ・バンクーバーへ出かけた際、北米西海岸の北部へのフライト時間の短さを改めて実感した。4月は成田空港からシアトルまでハワイアン航空(現在はアラスカ航空)、5月は羽田空港からバンクーバーまでANAを利用したが、どちらも離陸から着陸まで約8時間で到着。季節や偏西風の影響によって多少前後するものの、ヨーロッパ路線に慣れていた私にとって、8時間という数字は想像以上に短く感じられた。
機内では、離陸後にメインの機内食が提供され、到着前に軽食が出るという流れである。GW明けに利用した羽田発バンクーバー行きの夜便では、離陸後に食事が提供され、食事後にそのまま数時間眠って起きると、すでに到着まで残り2時間半ほど。軽食を食べた後に再び眠っていると、最終の着陸態勢に入り、あっという間にバンクーバー国際空港に到着した。
昨年から今年前半にかけてヨーロッパ出張が続いていた私にとって、長距離で8時間というのは驚くほど身体への負担が少なかった。睡眠時間自体は3時間程度だったものの、到着後の疲労感は軽く、ホテルにチェックイン後は街を散策し、夕食を楽しみ、そのまま自然に眠ることができ、翌朝も時差ぼけをほとんど感じることなく行動できた。
一方で、北米から日本への帰国便は偏西風の影響を受けるため、往路より飛行時間が長くなる傾向にあり、アメリカ東海岸では2時間以上、西海岸でも1~1.5時間以上長くなるケースが一般的だ。今回利用したシアトルやバンクーバーからの帰国便は、いずれも約9時間台前半のフライト時間で日本へ戻ることができた。
燃油サーチャージの高騰など、海外旅行を取り巻く課題は依然として多い。しかし、フライト時間の短さという点では、シアトルやバンクーバーは非常に魅力的な渡航先である。両都市ともに観光地となっており、更にハブ空港として北米各地へ移動することも可能だ。長時間フライトに不安を感じる人にとって、北米旅行の入り口としておすすめできると改めて感じた。
(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)




