【日本茶インストラクターが勧める 素敵なお茶生活 36】接客サービスと店頭サービス2 繁田聡子


 弊店での販売を担うのは、多くが家庭の主婦です。消費者目線での提案も多く大切な戦力となっています。新米のころ、皆が口にするのは、「品物を売ることが、こんなに難しいとは考えてもみなかった。商品を把握するのも大変なこと。これから自分が買い物するときはお店の人を優しい目で見るようにする」と。でもベテランになるに従って、知識不足の、プロ意識の低い接客を受けると憤慨するようになります。基礎知識が最低条件との意識が身についているからでしょう。

 10年以上も前のことですが、販売員のプロ意識に感心したことがありました。腕時計のベルトを選び、付け替えを頼んだとき、ベルトの質感と色だけで選んだ私に、「腕時計の金属の色とベルトの留め金の色が違いますが、よろしいのですか?」と、問いかけてくれたのです。大して高価でもないベルトに対して、そこまで気を使う販売員に驚き、仕事をするとはこういうことなんだなと教えてもらった体験でした。

 店で働いていると、お客さまとだけでなく、取引先の営業さん、電話受付の方、銀行さん、運送業者の人たちと実にさまざまな接点がありますが、一所懸命に仕事をする人にはある種、爽やかさを感じます。利害関係を抜きにして、人としてのつながりさえ感じることがあります。

 荻窪(杉並区)支店に、外国製の最新型ソフトクリーム製造機を導入した際、問題が発生するたびに力を貸して下さった平塚市(神奈川県)の乳業会社、営業担当(当時)の大沼氏の存在は心強いものでした。営業以上の仕事ぶりは、数年過ぎた今でも感謝とともに思い出されます。

 残念ながら、「ちゃんと仕事しなさいよ」と心の中で思わず呟いてしまう相手もたまにはいますが…。もしかしてその気持ち、顔に出ているかも? まだまだ修行が足りませんな。

 改めて気付いたことですが、サービスの和訳は「奉仕」です。それぞれの仕事での知識を持ち、それを深め、奉仕する気持ちを持った人々が多ければ多いほど、その社会は成熟していくのでしょう。

 全ての仕事において然(しか)り。もちろん政治家も然り。

 
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