【日本茶インストラクターが勧める 素敵なお茶生活 1】ペットボトルのお茶は画期的1 繁田聡子


 日本茶インストラクターのことをご存知の方もいらっしゃるでしょう。でも、どんな活動をしているのかまでは知らない方も多いのではないでしょうか。そこで、日本茶インストラクターの一人として、日々の仕事やお茶への思いをお話しすることで、「お茶の伝道師」についてより理解を深めていただければと願っています。

 ニュースに映る会議の場面、机上にはペットボトルのお茶。会合で出される弁当にもペットボトルのお茶が添えられ、街行く人々の手にもそれが。お茶のペットボトルの出現で、お金を払ってお茶を飲む、無料の飲み物ではないとの認識が広がったのは画期的なことだと思います。水も同様です。

 40数年前、外国で水は購入しなければ飲めないと知った時の驚き。そして飲み水にお金を払うのに抵抗を感じ、大して好きでもなかったビールをデンマークのチボリ公園で、クルー仲間と飲んだことを今でも鮮明に覚えています。

 自動販売機やコンビニエンスストア、スーパーマーケットでさまざまな飲み物と同じ土場で選択されるペットボトルのお茶。簡便性に優れるペットボトルのお茶の台頭は、お茶の歴史の上で大きな出来事なのかもと思わざるを得ません。

 日本でのお茶の歴史を大まかにたどれば、茶に関する最初の記録は、「日本後紀」815年の項にある「僧永忠が近江で嵯峨天皇へ献茶をした」との記述です。遣唐使として中国に渡った最澄、空海等高僧が、喫茶の風習を伝えたとされ、この頃のお茶は固形茶(餅茶、団茶)でした。

 その約400年後、宋から茶の種子を持ち帰り、抹茶法を伝えた臨済宗の開祖、栄西禅師が、1211年に「喫茶養生記」を著し、茶の薬効と喫茶の普及に努めました。この本の冒頭に書かれた「茶は養生の仙薬なり、延命の妙術なり」との文言をご存知の方も多いでしょう。

 そのまた約400年後、千利休(1591年没)が、村田珠光、武野紹鴎と続いた侘茶の世界を理念とする茶の湯形式を大成したのは広く知られていることです。

 1654年には、中国(明の時代)で開発された「釜炒りの散茶」が、日本黄檗宗の開祖、隠元の渡来により伝えられました。葉茶の到来でした。

 
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