【日本政府観光局インバウンド最新リポート 92】中国のゼロコロナ政策 JNTO広州事務所 中山友景 所長

  • 2022年12月21日

マカオの代表的な観光スポット、聖ポール天主堂跡付近の様子

再開専攻モデルとしてのマカオ

 10月22日、5年に1度の中国共産党大会が閉幕した。大会ではいわゆる「ゼロコロナ」政策と呼ばれる厳格な新型コロナウイルス感染症対策の成果が強調され、大会後の緩和に期待をかけていた国内外の旅行業界関係者を落胆させた。世界が正常化に進む中、11月には海外との往来においても隔離期間の短縮や航空便の再開・増便など、ビジネスを見据えた緩和を打ち出したが、世界に先駆けて抑え込んだ一昨年から昨年にかけての成功体験が逆に足かせとなり、また、今年は各地で感染拡大が頻発していることもあって、観光目的の渡航まで踏み込んだ抜本的な緩和にはいまだ踏み切れないでいる。

 さて、旅行会社による海外旅行の取り扱い禁止令や国民に向けた渡航自粛勧告が継続し、海外旅行が実質できない中国本土において、唯一“海外旅行”ができる地域がある。それがマカオだ。といっても国内なので、正確にはパスポートコントロールを通過して旅行ができるという”越境旅行”なのだが、海外旅行ができない中国本土の中国人(以下、中国人)にとっては、それに準ずるものとして人気を博している。10月下旬には、11月1日から入境許可の電子申請が再開されることが発表され、新型コロナウイルス感染症の拡大時期にもかかわらず比較的大きな話題となった。

 中国人によるマカオへの訪問は、2020年7月にマカオ側で、8、9月には中国側で、それぞれ隔離が免除され、20年の中国人訪問者数は475万人に達し、21年には704万人を超えた。19年の約2800万人にはまだ遠く及ばないものの、このコロナ禍では、他の越境旅行目的地を引き離して中国人が最も多く訪問している地域となっている。

 今年9月には中国本土に居住する外国人にも観光目的の訪問が開放され、筆者も早速視察してきたが、イミグレーションも大きな問題はなく、中国側、マカオ側でそれぞれ越境用の健康コードを取得し、PCR検査の陰性証明を提示すれば、それぞれ隔離免除で通ることができた。マカオ域内での防疫対策も中国本土に準じ、観光スポットやレストランなどでそれぞれ専用のQRコードを読み取って表示された健康コードを提示すれば利用できるようになっている。いずれもひと手間必要だが、快適かつ安心して観光ができる環境が整っており、現下の中国人にとって理想の越境旅行目的地であることは間違いない。

 もっとも、中国政府が他に先駆けてマカオに対して開放したのも、マカオ自体での新型コロナウイルス感染症の抑え込みがほぼ成功し、「ゼロコロナ」政策と矛盾しない越境旅行目的地だからだ。逆に言えば、中国人観光客を受け入れるためには、同様のレベルがいまだ求められているということでもある。その意味ではマカオに対する中国政府の対応は、今後の国際観光往来の再開に向けた先行モデルとして、注目していく必要がありそうだ。

マカオの代表的な観光スポット、聖ポール天主堂跡付近の様子

 

 
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