【日本政府観光局インバウンド最新リポート 78】中国の博覧会に出展 JNTO北京事務所 齊藤敬一郎 所長


「国際冬季運動(北京)博覧会」で訪日旅行をPRするJNTOブース

ニューノーマルの影響注視

 来年2月の北京冬季五輪大会を控え、9月3日から7日の日程で「国際冬季運動(北京)博覧会」(World Winter Sports Expo=WWSE)が開催された。冬季五輪大会を機にウインタースポーツへの関心が高まることが期待される中、JNTOとしては当該博覧会を冬季リゾートとしての日本の魅力を宣伝する大変良い機会と認識して2018年から出展を開始、今回で4回目となる。

 JNTOブースは主催者から「優秀展示賞」を2019年以降3年連続で頂き、今年度のJNTOブースへの参観者数は期間中で2万3714人に上った。残念ながら昨年よりも4割減少しているが、これは会場が市内中心部から離れた「首鋼園」となったことが影響していると考えられる。首鋼園は2010年まで操業していた製鉄所の跡地であり、北京冬季五輪大会の会場の一つである。冬季五輪大会を盛り上げる活動に参加できたことは光栄であるが、博覧会の会場としては集客面に課題があるように感じた。

 当初、主催者からは出展者、一般来場者ともに「原則として新型コロナウイルスのワクチン接種を完了した人のみ会場への入場を認める方針」と通知されていた。加えて出展者に対しては「48時間以内のPCR検査陰性証明も必要」とも通知されていた。

 だが実際には、会場への入場時にワクチン接種の状況やPCR検査結果を確認されることはなく、北京市のスマホアプリ「健康宝(Health Kit)」で過去14日間に感染リスクの高い地域への立ち入りがないことを示すだけで入場できた。また、入場登録の際(出展者、一般来場者ともにオンラインでの事前申請が必要だった)には、ワクチン接種状況について申請する欄があったが、「ワクチン未接種」と申請した者も入場が許可されており、前述の通知は呼びかけだけに終わったようである。

 しかしながら、今後も「ワクチン接種を完了した人のみ入場を認める方針」が呼びかけだけに終わるかは注意が必要である。例えば、スマホアプリ「健康宝」は、過去14日間の行動記録だけでなく、ワクチン接種記録、PCR検査結果などが表示される仕組みとなっており、イベント入場時に係員が確認することができる環境は整っている。

 加えて、北京市の発表では18歳以上常住人口の97%がワクチン接種を完了(9月8日時点)しており、ワクチン接種を入場の条件とすることを当然と認識する人も少なくないのではないかと考えられる。

 また、在中国日本大使館の情報によると内モンゴル自治区など中国国内の一部地域では観光施設やホテルなどへの入場に際しワクチン接種記録を確認し、ワクチン未接種者に対してはこれらの施設への入場を拒否しているとのことであり、今後、「ワクチン接種を完了した人のみが入場できる」という対応が中国の標準となるかどうか引き続き注視する必要がある。

 今後、徐々に海外旅行が解禁されていくものと考えるが、このような中国国内のニューノーマルが訪日旅行にどのような影響を与えるか注意深く見ていく必要がある。

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