地方都市からも誘客促進
日本政府観光局(JNTO)バンコク事務所は、タイ発の訪日旅行需要拡大に向け、バンコク首都圏だけでなく、地方都市もターゲットの一つとしてプロモーション活動を実施している。本稿では、地方都市で実施した最近の取り組み2件を報告する。
一つ目は2018年1月19~21日にタイ北部の中心都市チェンマイで開催した「ビジット・ジャパン トラベルフェア inチェンマイ」である。JNTOとして、チェンマイでの一般消費者向けPRイベントの開催は今回が初めてであった。JNTO以外に、日本側出展者は地方自治体、宿泊施設、鉄道事業者など合計9団体・社、タイ側出展者は旅行会社、航空会社合計10社で、日本側出展者からは「想像以上に来場者が日本のことを知っていて驚いた」「バンコクと比較して質問が基礎的。細分化されていない」など、チェンマイ訪日旅行市場の今後の発展の可能性に期待する意見が聞かれた。実際、3日間の入場者数は2万5千人であり、例年秋にJNTOがバンコクで開催している「ビジット・ジャパン FITトラベルフェア」の入場者数が3日間で3万2800人であることと比較しても、地方部における訪日旅行への関心の高さがうかがえた。
さらに、来場者を対象としたアンケートによると、訪日旅行経験者は全体の60%、そのうち、訪日経験を複数回有するリピーターが55%を占め、タイの地方においても訪日旅行経験者の存在を確認できた。訪日時に利用した航空会社はタイ国際航空、タイエアアジアXが上位2位を占めるのはバンコクでのアンケート結果と同じだが、「第三国経由便を利用した」との回答が3番目に多く、日本への直行便があるバンコクでの調査とは異なる結果となった。一方、今後の訪日手配方法は「全て自己手配する」と「FIT型パッケージ商品を購入する」の回答が合計で80%を超え、バンコク同様に高い個人旅行志向がうかがえた。
また、5月下旬にはインセンティブ旅行の実態調査のためにタイ東北部の主要都市、コーンケンを訪問し、旅行会社へのヒアリングを行った。旅行会社によると、カンボジア、ミャンマーなどの東南アジアの近隣諸国や東アジアでは日本、香港、韓国などが選ばれるが、日本は旅行費用が比較的高額なため(日本行き3万~5万バーツに対し韓国行き1~1.5万バーツ)、予算不足で日本行きを断念することもあるそうだ。地元のコーンケン大学(タイ東北部初の総合大学)では、17ある全学部がそれぞれ最低年1回インセンティブ旅行を実施しており、東京都内および大学の視察を組み合わせての実施例が確認できた。
タイの訪日旅行市場は2013年の短期滞在査証免除以降、順調に拡大を続けており、17年には98万7千人を記録。18年は100万人突破への期待が高まる。当事務所では今後もバンコク首都圏だけでなく、タイの地方からの訪日促進のための取り組みを継続していく。