【旅館経営ワンポイント講座 20】お客さまの喜ぶ顔が見たいなら 渡辺清一朗


 爽やかな春風のように私たちを柔らかく暖かく包んでくれたサムライたち。仲間を心から信じ、応援してくれる人たちを絶対に裏切らないということがいかに大切なのかを教えてくれた。

 このことは全てのチームや組織にも当てはまる。サービス業の基本である「お客さまに喜んでもらう」「そのためには喜びを提供する仲間を信じて大切にする」に通じる。

 先日も、「旅館やホテルみたいに喜ぶ人の顔を直接見ることができる商売っていいよね。突然怒られることもあるだろうけど、お客さんの反応をすぐに知ることができるってうらやましいよ」とは、20年来のご縁をいただく福岡の製造業の社長さん。「うちのような小さな会社は信用と信頼が何よりも大切。でも、エンドのお客さんの喜ぶ顔に出会うことはまれなんだよ。その代わり、いい仕事ができたときに従業員と喜びを分かち合う。そのときのみんなの笑顔は何とも言えない。きっと自分もいい顔になってるんだろうな」と。この人の生き方に接するたびついつい私も笑顔になってしまう。

 改めて言うまでもないこととは思うが、商売を繁盛させるためには、お客さまから「支持され、愛され、信頼される」ことが何よりも必要だ。商売が繁盛している状態を数字に表すと「売り上げと利益が目標通りに計上されている決算書」になるのではないだろうか。したがって、繁盛させたいがために短期的な一過性の戦術を駆使し、売り上げや利益を追求することは間違いかもしれない。V字回復の後には必ずV字の下降線が待っている。そこには「喜ぶ人の顔は見えるか」との問いかけもなく数字を追いかけている姿があるだけだ。

 真の繁盛の状態とは長期にわたって実績を示し続けていることをいう。お客さまから「支持され、愛され、信頼される」ようになるためには、長期にわたる地道な努力が必要だ。最低でも長期借入金の返済期間に見合う中長期経営戦略を立案し実行したい。

 砕いて言えばその目指すところは「自分にも他人にもうそをつかない。自分以外を幸せにすることを喜ぶ。利他の精神を基本とする。決断力をもつ。実行能力をもつ。自ら進んで事に当たる。周りの評価に一喜一憂しない。公明正大である。嫉妬しない。かわいらしく愛嬌がある。思想がはっきりしていて分かりやすい」など。「なんだそんなことか」とバカにせず、こつこつと一つ一つを実現してみてはいかがだろうか。きっと商売繁盛のヒントが見つかるはずだ。

 このように考えてみると、人生も経営もやるべきことと目標は非常に似ていることに気がつく。家族の喜ぶ顔が見たいのならば、家族や仲間に支持され愛され信頼される人になろう。お客さまの喜ぶ顔が見たいのならば、笑顔を共有できる仲間とともに、お客さまに支持され愛され信頼される仕事をしよう。結果欲しさの安易な一過性戦術はもはや通用しないと思い知ろう。そして、事業を継続する限り間違わずにその道を進もう。

(EHS研究所会長)

 
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