【旅館ホテルのおもてなし 43】和室での立ち振る舞い1 大谷 晃


 旅館ホテルに到着した時、和装姿の仲居に深々とお辞儀をされて迎えられると、お客さまは大変気分が良いものです。普段、味わえない濃厚なひと時に一歩足を踏み入れたと感じる瞬間です。旅館ホテルは特別な日常をお客さまに楽しんでいただく場所です。満喫していただくためにも、仲居の立ち居振る舞いは重要で、仲居はその一端を担っていることを常に自覚しましょう。

 ●基本の姿勢

 背筋をまっすぐ伸ばすことが何よりもポイントです。コツは頭のてっぺんから吊り下げられているようなイメージを持つことです。身体の重心はぐらぐら・ふらふらしないように、中央に置きます。視線は3メートルほど先の床を目安に。首を傾けない、あごを引くのが基本です。肩や胸には力を入れず、おなかにやや力を込めて上半身を支えます。手は指先をそろえて自然に。指を反らしたり開いたりしないこと。足元は、男性はかかとをそろえ、つま先を15~20センチほど開くようにします。女性はつま先をそろえておきます。

 ●和装で歩く・和室内を歩く

 和装で歩く場合、歩幅を狭くして、膝から下をやや内股にします。スリッパや草履を履いている時は、つっかけたり、ひっかけたりしないように、奥までしっかり履き、バタバタさせないように注意します。

 特に気をつけたいのは、次の点です。

 ・敷居、畳の縁や継ぎ目を踏まない。

 ・室内の上座、下座を見極め、入室する時は下座の足(床の間から遠い方)から、退室する時も下座の足で敷居をまたぐ。

 ・つま先からすっすっと歩く。歩幅は大股ですたすた歩かず、畳の縁の長さを5~6歩で歩く(小笠原流礼法)。

 ・足を引きずらない。

 ・外股にならない。

   *    *

 ■日本ホテルレストラン経営研究所=ホスピタリティ業界(旅館、ホテル、レストラン、ブライダル、観光、介護)の人材育成と国際交流へ貢献することを目的とするNPO法人。同研究所の大谷晃理事長、鈴木はるみ上席研究員が監修する書籍「『旅館ホテル』のおもてなし」が星雲社から発売中。問い合わせは同社TEL03(3868)3275。

 
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