【旅館ホテルのおもてなし 39】車椅子のお客さま1 大谷 晃


 身障者の方で車椅子を使用されるお客さまに対して、旅館ホテルではどのようなサポートやフォローをするべきか、見ていきましょう。
 車椅子の方々は日常、どのようなところにお困りでしょうか。一番大変なのが、段差、勾配のきついスロープ、溝などがあって、車椅子が上がれなかったり、通れなかったりすることです。客室も、洗面所や浴槽、トイレなどが車椅子に対応した造りになっていない場合や棚が高いところにありすぎて、手が届かなかったり、反対に低すぎる場合などが考えられます。

 そこで、車椅子のお客さまに対してどのように接客すれば喜んでいただけるか見ていきましょう。

 車椅子のお客さまに気づいたら、すぐお声がけし、同行の方がそばにいても、「お手伝いできることがございましたら、ご遠慮なくおっしゃってください」とお客さまの目を見て申し出ることです。サポートを受けるのはお客さまです。直接話しかけることが大事です。また、つい立ったままで応対してしまいがちですが、腰を落として、お客さまの目線に合わせることです。お客さまがご自分で車椅子を動かしている場合は、真正面からではなく、お客さまのお顔の横方向からお声がけするようにします。

 どの場合もそうですが、いきなり黙って車椅子を動かしてはいけません。それでなくても車椅子のお客さまは常に不安を抱えていらっしゃいます。事前に一声おかけすることが、基本中の基本です。

 ●車椅子について

 操作に慣れていない仲居も多いでしょうから、まず車椅子について知っておきましょう。

 車椅子には自分で車輪を回すタイプと電動のタイプがあります。多くの方がお使いなのが前者です。ここでは手動タイプについて見ていきます。

 ・介助者はハンドグリップを握って押します。

 ・停車中はブレーキを手前に引きます。特に傾斜のある場所では必ずブレーキを引きます。

 ・ステッピングバーは介助者がキャスター(前輪)を上げるときに踏みます。

 ・ハンドリムは手で車輪を回すためのものです。

 ・フットレストは足を置く場所です。

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 ■日本ホテルレストラン経営研究所=ホスピタリティ業界(旅館、ホテル、レストラン、ブライダル、観光、介護)の人材育成と国際交流へ貢献することを目的とするNPO法人。同研究所の大谷晃理事長、鈴木はるみ上席研究員が監修する書籍「『旅館ホテル』のおもてなし」が星雲社から発売中。問い合わせは同社TEL03(3868)3275。

 
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