【旅館ホテルのおもてなし 38】高齢のお客さま3 大谷 晃


 ●お部屋へのご案内

 お客さまのペースに合わせてご案内するのはこれまでお話しした通りです。お部屋までお荷物をお持ちします。
 エレベーターがなく、階段を上らなければならない場合は、お客さまの1段下に立ち、お客さまの体を支えられるような体勢で、ゆっくりと上がります。反対に、階段を下りるときは、1段下からお客さまと向き合う形で立ち、1歩ずつゆっくりと下りていきます。ただしそれは、歩行が困難と判断した場合に限ります。高齢だからといっていきなりそのようなことをしては、気分を害されてしまうので気をつけましょう。

 ●お部屋でのご案内

 お部屋にご案内したあとは、一般のお客さまに対する応対と同じです。ただし、高齢者のお客さまゆえのサポートやフォローをすることは重要です。「細かいところにまでよく気がつく」と喜んでいただくには、大浴場は、転倒防止のために洗い場から湯船まで麻のマットを敷く。風呂椅子は、座高が高く座る面が広い物を用意する。大浴場の使用が難しそうと感じた場合は家族風呂をお勧めするというようにです。

 「部屋食」のお食事の場合は、予約時に伺ったご希望に沿ったお料理を提供します。また、箸を使うことが困難な様子なら、ご要望がなくてもフォークやスプーンをお持ちしましょう。小さな気づかいが大事です。お客さまにも喜ばれることでしょう。

 ●チェックアウト・お見送り

 どの場合も同じですが、ここでも急かさないで、ゆっくり対応することが大事です。混み合うのを避けるために、お部屋でチェックアウトをしていただくのも一つの方法です。お部屋から玄関、またはお車まで荷物をお運びします。靴を履きやすいように、適した高さの椅子を用意します。

   *    *

 ■日本ホテルレストラン経営研究所=ホスピタリティ業界(旅館、ホテル、レストラン、ブライダル、観光、介護)の人材育成と国際交流へ貢献することを目的とするNPO法人。同研究所の大谷晃理事長、鈴木はるみ上席研究員が監修する書籍「『旅館ホテル』のおもてなし」が星雲社から発売中。問い合わせは同社TEL03(3868)3275。

 
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