【旅館ホテルのおもてなし 34】耳の不自由なお客さま1 大谷 晃


 耳の不自由なお客さまは、外見からでは障害が分からないため、健常者と同じ扱いをされがちです。普通に声をかけられるために、相手の意思が分からず、意思疎通が図りにくいことが起こります。また、客室のドアのノックや電話の音、緊急時の非常ベルや館内放送も聞こえません。

 これらを踏まえて、耳の不自由なお客さまをお迎えし、喜んでいただくには、どのように接客すればいいか見ていきましょう。

 ●障害の度合いを知る

 まず障害の度合いを知り、それに合わせたコミュニケーション方法を選択します。手話をしている、補聴器を使用している、お声がけに反応しない、身ぶりを交えたしぐさをしているなどのときは耳に障害のあるお客さまかもしれないと予測し、どのコミュニケーション手段が最も適しているかを考えます。ジェスチャー、筆談、空書(空中に文字を書く)、読話(口の形で言葉を読み取る)、手話などの中から選びます。

 耳の不自由なお客さまに対するこの作業は大変重要です。それを怠ったばかりに、あとでトラブルになることはよくあります。十分注意しましょう。
 コミュニケーションとして良いのは、このうちのいくつかを組み合わせることですが、慣れなくても確実にできるのが筆談です。いつでもどこでも対応できるように、メモ用紙とボールペンを常時携帯するようにしましょう。内容が伝わったかどうかは、表情から確かめます。

 お話しするときは、ゆっくりと分かりやすく。複数の人に同時に話しかけてはいけません。読話のできる方には口先が分かるようにはっきりと話し、ジェスチャーも交えるとより伝わりやすくなります。

 お声がけをする際、決して後ろからいきなり体に触れてはいけません。話しかけるときは、前方に回ってから肩をトントンと軽く叩いてから呼び止めて、行うようにします。

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 ■日本ホテルレストラン経営研究所=ホスピタリティ業界(旅館、ホテル、レストラン、ブライダル、観光、介護)の人材育成と国際交流へ貢献することを目的とするNPO法人。同研究所の大谷晃理事長、鈴木はるみ上席研究員が監修する書籍「『旅館ホテル』のおもてなし」が星雲社から発売中。問い合わせは同社TEL03(3868)3275。

 
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