【旅館はもっと良くなるべきだ 旅館経営 タテ・ヨコ・ナナメ 118】新型コロナウイルスへの経営対応5  長期戦への備え リョケン代表取締役社長 佐野洋一

  • 2020年5月11日

 本稿が掲載される時点では、まだ緊急事態宣言のさなかにある。全国で大多数の旅館・ホテルが休業されていることと思う。

 この感染症問題が地震や風水害などと決定的に違うのは、災厄そのものがまだ進行中であり、いつ終わるか分からないという不安にある。「起こった災害の後」をどうするか、というフェーズに至っていないのだ。

 現時点で収束の時期は予測できない。今やるべきことは、長期戦への備えである。回復までに向こう半年ぐらいかかる場合も想定して、まずは資金繰りの見通しをつけておきたい。

 (1)人件費の見極め

 休業手当てをどれだけ支給するのか、一方で雇用調整助成金(雇調金)がどれだけ受給できるか、そして差し引きいくらの支出になるかの見通しを早めに立てよう。なお休業手当ての支給率は途中で変更することもできる。特例により受給申請は6月末まででよいが、思わぬ落とし穴もあるので、早めに内容を確認しておきたい。そして、雇調金の受給は、最短でも申請の2カ月後になる。申請がかなり殺到するのは必定なので、半年から1年ぐらい後になる可能性も十分ある。従って当面の資金繰りでは、雇調金を収入として当てにしてはいけない。給与なり休業手当として支給する額「全部」を、ひとまずキャッシュアウトとみておくことが肝要だ。

 (2)諸経費の見極め

 月次試算表にある「販売費・一般管理費」の勘定科目ごとに、どの程度削減できるかを検討しよう。変動費は言うに及ばず、固定費と位置付けられるものも、切り詰めや交渉しだいで減らせる費用はあるはずだ。何もせずにいれば、毎月そのまま出ていくことになる。

 (3)元利返済、納税等

 借入金の元利償還については、すでに多くの会社で金融機関から「提案」がされているかもしれない。手元資金に余裕のあるところでも、長期化となれば話は別だ。早めに金融機関に相談しておくのがよい。

 納税については、国税、地方税とも、状況に鑑み延滞税なしで猶予される制度がある。また、社会保険料の納付についても同様の猶予措置がある。必要があれば取り扱い窓口に相談してほしい。

 (4)運転資金の積み増し

 以上から、月々いくらのお金が必要になるのかを、まずは見極めておこう。回復までの期間に必要な資金は、これに想定される月数を掛け算すればよい。

 運転資金は当初、「とりあえず今月、来月分」として借りたところも多いと思うが、今後3カ月、6カ月と長期化する場合に備え、今から追加融資や、既往借入れに対する反復融資依頼の申し入れをしておこう。無利子枠などにより、できれば多めに借りておきたい。またこれを機に、複数の既往借り入れを、より低利の1本にまとめる手もある。

 (5)とにかく早く!

 ぐずぐずしている暇はない。打つ手が1日遅れれば、それだけ傷は大きくなる。一刻も早く対策を講じ、先の見通しを立てていくことだ。社長1人ではとても対応しきれないだろう。社内でなるべく手分けして当たること、しかるべき機関や専門家にどしどし相談することだ。なお弊社でも、緊急に「無料オンライン経営相談」を行っているので、お悩みの方はご利用いただきたい。

(株式会社リョケン代表取締役社長)

 
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