【旅に出よう~温泉はにっぽんの宝~93】明日から実践 あったら嬉しいコト、モノ 山崎まゆみ


 本連載を読んでくださっている日本旅行関連会社の日旅産業さんからのご依頼で「明日から実践 あったら嬉(うれ)しいコト、モノ」と題して、東北の旅館やホテルの皆さんに向けて講演をしました。ご参加くださった皆さんのメモをとる姿が印象的でしたので、読者にもお役にたつのかもしれないと思い、内容をかいつまんで記します。

 旅館やホテルの増改築という大がかりなことではなく、ちょっとした気遣いがあるとうれしいといった話です。

 まず香りです。これまでも女将の計らいで上品なお香が炊かれてある旅館には出会いましたが、女性に人気を誇る宮城県鎌先温泉みちのく庵は宿オリジナルのアロマを炊いていました。みちのく庵は10室しかない小規模で木造の平屋の和風旅館です。温泉街から少し高台にあるため、客室からも露天風呂からも山々を見渡せる環境で、風の音がよく聞こえてきました。旅館では持つイメージを調香師に伝え、オリジナルの香りを作ってもらったそうです。その香りは、森の中にいるような、木の香りと緑の匂いのような、旅館で感じられる全てがミックスされたものであり、確かにほかでは嗅(か)いだことがなかったので記憶に残りました。「うちの約8割のリピーターさんが『あ~、この匂い、帰ってきた~』と言って下さるんですよ」とは、オリジナルアロマをオーダーした女将の言葉。女性を意識した宿づくりにおいて香りは重要事項です。

 館内着は浴衣以外に作務衣(さむえ)があるとうれしいです。以前着たお尻が隠れるくらいの裾が長い作務衣は着心地が良かったです。袖が長いと、食事の時に粗相をしてしまうので、袖は短い方がいいです。

 そしてアメニティーです。富山のあるホテルでは富山の水を利用したオリジナルアメニティーがありました。客室や脱衣所で使える基礎化粧水で、それらを売店で販売していたので私は購入しました。センスあるご当地モノにはお財布のひもが緩みます。

 売店には購入欲をそそられるモノが並んでいるのが望ましいです。旅館滞在中に使用してみて気に入ったら購入したくなります。その場合、購入しやすい価格帯というのがあります。例えば、せっけんが気に入ったとします。小さなせっけん1個300円なら4~5個購入してお土産として配りますが1個500円だと1個購入するくらいでしょうか。

 これらは20年以上日本各地を旅してきた私からの旅館やホテルさんへのリクエストであり、わがままです。お許しください。

(温泉エッセイスト)


       

 
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