【新春特別インタビュー】「観光先進国への挑戦」 観光庁長官 田端 浩氏

  • 2019年1月1日

観光庁長官 田端浩氏

訪日外国人4000万人の達成へ 地方誘客と消費拡大を推進

 ――18年の訪日外国人旅行の旅行者数の見通し、19年の注目すべき訪日旅行動向、今後の訪日誘客のポイントは。

 「18年の訪日外国人旅行者数は、史上初めて3千万人を突破した。現時点で19年の見通しを述べることは困難だが、20年4千万人などの目標達成に向けて、欧米豪からの誘客強化をはじめ、富裕層の取り込みや訪日インバウンドの成長が見込まれる新たな市場からの誘客促進が必要である。今後、国別戦略に基づくきめ細かな市場別プロモーションはもとより、デジタルの力を最大限活用し、個人の興味、関心に直接訴求する先進的なプロモーションなどを実施していく」

  ――18年は自然災害が相次いだ。観光需要の喚起に向けた「ふっこう割」など復興支援の成果、課題は。

 「18年の台風や地震などの自然災害を受け、政府は『ふっこう割』や官民一体となったキャンペーンを展開し、JNTOによる正確な情報発信などを実施している。これらの官民を挙げたさまざまな取り組みの効果もあり、災害を受けた地域の観光需要は回復してきているものと認識している。また、課題となった、災害時の外国人旅行者への情報提供などについても早急に対策を講じた。今後も、さらなる観光需要の回復、増加につなげるため、各施策を引き続き着実に実施していく」

  ――災害時の外国人旅行者に対する情報提供などの対策の状況や今後の方針は。

 「18年の自然災害に際し、訪日外国人への情報提供が十分ではなかったとの認識から、政府は『非常時の外国人旅行者の安全・安心確保のための緊急対策』をとりまとめた。これに基づき、観光庁では、関係省庁・機関とも連携して、コールセンターの体制強化やJNTO認定案内所に対する非常用電源や携帯電話充電機器等の整備支援などを実施している。今後も、災害などの非常時でも外国人旅行者が安心して快適に日本を旅行できるよう、さらなる受け入れ環境の整備に努めていく」

  ――18年6月に住宅宿泊事業法が施行された。民泊の健全な発展、違法民泊の排除などの観点を含めた今後の民泊施策の考え方は。

 「住宅宿泊事業法の施行から約半年が経過したところであるが、12月14日時点で、住宅宿泊事業の届け出の提出件数が1万2858件、うち受理済み件数が1万1612件となっており、届け出件数は法施行後も順調に増加を続けている。また、違法民泊対策については、関係省庁連絡会議を設置し、関係省庁で連携して違法民泊の取り締まりなどの徹底を図るとともに、民泊仲介サイトに掲載されている物件の適法性の確認作業を行い、仲介業者に対して違法な物件の掲載を行わないよう指導している。いずれにしても、観光庁としては、引き続き、関係省庁や関係自治体と連携して、住宅宿泊事業法を適切に運用するとともに、違法民泊の排除を進めることにより、健全な民泊の普及を図ってまいりたい」

  ――宿泊業団体が外国人材に関して、新たな在留資格、技能実習制度を念頭に就労の受け入れ準備を進めている。観光庁の対応は。

 「観光庁では、『新たな在留資格』制度や外国人技能実習制度における『2号移行対象職種』への追加を活用した宿泊業の外国人材の受け入れについて、業界団体で構成する『宿泊業外国人労働者雇用促進協議会』や関係各省庁と連携し、検討を進めているところ。18年9月には業界団体が共同して『宿泊業技能試験センター』を設立し、それぞれの制度における試験制度などの準備を進めているものと承知している。引き続き観光庁としても、業界団体や関係省庁と緊密に連携し、検討を進めていきたい」

  ――宿泊業の生産性向上が課題だ。これまでの取り組みや今後の施策の方向性は。

 「宿泊業における生産性向上を支援すべく、業務効率化に資するコンサルティングやワークショップを実施しているほか、宿泊施設などの連携による共同購買や泊食分離などを促進するためのモデル事業を実施しており、これらの成果を積極的に横展開していきたい。さらに、訪日外国人旅行者に対して旅館の認知度を向上させるべく、分かりやすい情報提供をウェブ上で行う情報開示促進事業を実施している。観光庁としては、宿泊施設の生産性向上が図られるよう、引き続き支援を行っていきたい」

  ――DMOの形成、育成に関する現状や課題、今後の支援策の方向性は。

 「観光庁では、15年11月に、日本版DMOの登録制度を創設し、18年12月14日時点で208法人が登録されるなど、登録数は順調に増加している。他方で、人材や安定的な財源の確保が課題となっている地域もあるものと認識しており、観光庁においても関係省庁と連携しつつ支援を行ってきたところ。現在、観光庁では、『明日の日本を支える観光ビジョン』に記載された『世界水準のDMOの形成・育成』に向け、有識者からなる検討会を立ち上げ、世界水準のDMOの在り方について議論を行っているところであり、この議論を踏まえ、今後の支援策の方向性について検討を行ってまいりたい」

  ――19年をどのような年にしたいか。

 「19年には、地方開催が含まれるラグビーワールドカップやG20観光大臣会合など重要イベントが開催され、訪日外国人の長期滞在による消費拡大が期待できるほか、日本の各地の素晴らしい魅力を発信する大きなチャンスとなるもので、開催効果を最大限に活用しつつ、官民連携のもと準備を進めていく。また、インバウンドの効果を全国に波及させ、20年4千万人、30年6千万人の目標を達成するため、20年を目前に控える19年は、地方誘客と消費拡大に向けた取り組みをより一層推進していくことが重要と考えている。20年の目標達成につながる施策をトータルで強力に進める1年としたい」

観光庁長官 田端浩氏

 

 
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