「観光資源の魅力向上」 産業の担い手にも意欲
石井啓一国土交通相はこのほど、国土交通省交通運輸記者会の加盟紙による共同インタビューで、国土交通施策に関して新年の抱負を語った。観光施策では、訪日外国人旅行者を2020年に4千万人にするなどの政府目標を踏まえ、観光資源の魅力向上などに取り組むことを強調した。人口減少や人手不足に対し、宿泊業を含む国土交通分野の産業の生産性向上、担い手の確保にも意欲を示した。
観光施策については、「政府の目標を念頭に、観光資源の魅力の向上、観光産業の革新、訪日観光の受け入れ環境整備に取り組む。また、次世代の観光立国実現に向けた高次元の観光施策を実行するための財源確保を目的とした国際観光旅客税(仮称)が19年1月7日から適用される。この新たな財源を適切に運用していく」と述べた。
日本人の国内旅行に関しても振興が重要との認識を示し、「現在、政府一丸となってインバウンド観光促進への取り組みを進めているが、これは国内観光の振興にも資する。インバウンド、国内観光の両方を促進する観点から、日本版DMOの形成、確立への支援など、外国人のみならず、日本人にも魅力ある観光地域づくりを推進し、長期滞在によって日本人宿泊旅行者の増加を図る。観光産業の改革強化、キッズウイークなど休暇取得の促進で国内観光のさらなる振興を図りたい」。
国土交通分野の産業の生産性向上では、「国土交通省として16年は『生産性革命元年』、17年は『生産性革命前進の年』としてプロジェクトを進めてきた。18年は『生産性革命深化の年』として施策を進める。運輸業、宿泊業などで人手不足が深刻なことから担い手確保にも取り組む」と述べた。
一方で、17年には、九州北部豪雨などの自然災害のほか、北朝鮮のミサイル事案、新幹線で初の重大インシデント(事故が発生する恐れがあると認められる事態)、自動車の不適切な完成検査などの問題が起きたことを踏まえ、「国土交通省としての最大の使命は、国土交通分野の安全、安心の確保。これを最優先にしっかり取り組む」と決意を新たにした。