【岐路 バスと観光 新たな関係57】高速バス市場のこれから10 成定竜一 

  • 2017年8月19日

 「地方在住者の都市への足」として、もう30年来定着している高速バス「第一の市場」に対し、2006年頃から急成長したのが、大都市同士を結ぶ路線である。筆者は「第二の市場」と呼ぶ。具体的には、首都圏―京阪神、名古屋、仙台の3路線である。

 これらの路線にも、もともと高速バスは運行されていた。運輸省(当時)の免許制度の関係で、国鉄バス(当時)や沿線合弁の高速バス専業の事業者が中心だった。

 沿線合弁の高速バス専業者とは、例えば東京―名古屋の高速バスを運行するために、東京の東急から始まり、神奈川中央交通、静岡鉄道、名古屋鉄道など沿線で路線バスを運行する事業者がほぼ平等に出資して新たに設立した東名急行バス株式会社などを指す。

 だが、当時の国鉄バスは決して商売上手と言えなかったし、ましてや沿線合弁事業者の場合、責任の所在が不明確で意思決定も困難だ。

 また何より、路線バス事業者は、地方部では十分な存在感を持つのに対し、大都市では存在感が小さく高速バスの認知度を上げることは難しい。両端が大都市という路線では、従って、本来のポテンシャルに比べ、高速バスの市場シェアは著しく低かった。

 ところが、02年頃、京阪神から東京ディズニーリゾート、首都圏からユニバーサル・スタジオ・ジャパンへの利用者を主な対象とし、貸し切りバスをチャーターして催行されていた主催旅行(現在の呼称は募集型企画旅行)の一部が、東京と大阪の都心間のみの利用も受け入れ始めた。

 その成功を見て多くの旅行会社が参入し、やがて東京・横浜―京阪神、名古屋といった都市間利用を主とする商品も増加した。高速ツアーバスの誕生だ。

 さらに「楽天トラベル」らが高速バス予約サービスに参入しウェブマーケティングによる需要喚起が進むと、これらの市場は一気に拡大した。

 従って、この「第二の市場」の特徴は、極めて多くの事業者が同一路線において競合し、乗客はウェブ上で運賃や座席グレードなどを比較検討しながら予約するという点だ。

 (高速バスマーケティング研究所代表)

 
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